第一回島清ジュニア文芸賞「散文賞」(小学生の部)「ぺティーとテティーの不思議な旅」

ページ番号1002770  更新日 2022年2月15日

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美川小学校6年 東綾子

みなさんは、いつものように見ている雲に生物がいることを知っていましたか?

雲の上には、あらいぐまみたいなたぬきみたいな、まぁ不思議な生物が住んでいます。雲の上に行くことは禁じられているのですが少しだけのぞいてみることにしましょう。

おゃ、あれは雲の世界で一番人気者でやんちゃな兄のペティーと弟のテティーです。
「お兄ちゃん、今日は暑いね」
「そりやそうだよ、今日は太陽さんが、にこにこわらってるもん」
と、ペティーたちは言っています。人間界では、くもり後雨、所によりかみなりとなっているけど雲の世界はどうなのでしょう?

ズシーン ズシーン ズシーン ズシーン
「うわぁ!」
と、ペティーたちは耳をおさえたけど、一体どうしたのでしょう?
「あー、いったみたいだね、お兄ちゃん」
「あー、おどろいた、今日は暑いから、かみなり様がおこっているんだね」
「それじゃ、人間っていう生物がすんでいる人間の世界は雨とかみなりだね。人間さん大じょうぶかな」

やっぱり雨がふってきた。雲の世界はとてもあたたかくていいな・・・‥。
「テティー!今日はぜっこうのお昼ね日和だ。雲を少しちぎってお昼ねしようよ!」
と、ペティーが言いました。でもテティーは
「テティーは行かないよ、だってお父さんがダメって言っていたよ」
と、言いました。けれどペティーは一人で雲をちぎってお昼ねを始めました。それを見ていたテティーはうらやましくなったのか、テティーに続いて雲をちぎってお昼ねをしようとしたときのことです。

「うわぁー!」

すごいとっ風がふいてペティーとテティーはまっさかさま! 大じょうぶかな?・・・・

ボフッ

なんとか雲でペティーとテティーは助かったけど見たことも聞いたこともない所にきてしまいました。

そう、ここは私たちが住んでいる人間界、ペティーたちは人間界にまぎれこんでしまったのです。
「お兄ちゃん、ここどこなの」
「たぶん、ここが人間の国っていう所なんじゃないのかな? お父さんも言っていたし」
「じゃ、おうちに帰れないの?」
と、テティーがなき出しそうになったとき

わっしょい! わっしょい!

わっしょい! わっしょい!

なんだかにぎやかな声がします。

今日は5月22日、ちょうど美川町のおかえりまつりです。

ペティーたちは目をまるくしました。
ペティーたちが百人いてもとどかない大きな台車の車りんとか、ばかでかいおみやさんのとりいとか、なんかいいにおいのする、お店とか、すっごく大きい人間とか不思議なものばかりでした。
「なんだか変な物がいっぱいあるね」
「うん‥・あっ!」
テティーがゆびをさしたのは、すみっこのほうで絵を書いている画家さんでした。
「ぼくたちの雲があるよ」
「本当だ! すきをみてとびこんでみよう!」
と、いっているけど絵の空。とびこめるわけがありません。大じょうぶかな?
「ふー、休むとするか」
と、画家が一ぶくをしにいった時、ペティーたちは絵にむかってまっしぐら!
「それっ」

ベチャ

二人とも顔中絵の具だらけ

そこへ帰ってきた画家が
「うわー! オレの絵に落書きがしてある! だれだこんなことをするやつは!」

ペティーたちは、なんだかこわくなって、すきをみてにげだした。
「ちがったね。お兄ちゃん」
と、テティーがいいました。

ペティーは残念そうにずっと下をむいていました。
テティーもなぐさめていたけど泣き出しそうになりました。

ところが次はペティーが
「あっ、テティーみてみろよ! 今度は本当に雲だよ!」
と、わたあめをゆびさしました。

たしかに似ているけれど食べるものだし・・・

でも、そんなことを知らないペティーたちはとびこんでいきました。
「あっ!」
と、ペティーたちはさけびました。

さけんだひょうしに雲が口にはいりました。
「お兄ちゃん、これ、なんだかおいしいよ?」
「本当だ!」
と、ペティーたちは大よろこび。そこへ
「でも食べちゃったら帰れなくなっちゃうよ、お兄ちゃん」
と、テティーが言いました。でもおなかがグーとなりだします。もう、がまんができないとペティーが
「まだ雲を作ってるじゃないかテティー。この雲を食べても大じょうぶだよ!」
と、言って食べはじめました。

不安がっていたテティーもたべはじめようとしたときです。
「ギャァー!」
と、いうさけび声が聞こえました。

あれ?どうしたのだろうと思って上の方を見てみると・・・屋台の人がハエたたきをもってやってきました。「やぁ」と、ハエたたきをふりおろしました。
「あんぎゃー!」
と、つぶされそうになった所をぎりぎりセーフでなんとかにげだしました。
「あれは人間が食べるおかしなんだね」
「うん、あぶない所だったね」
と、二人で話しています。

なんとか、すきまをぬけていっているぺティーとテティー。その時、後の男の子が石につまずいてころびました。
「あっ」
と、その男の子は言いました。
「小さい変なのがいるよ、ムメ」
と、男の子は妹に言いました。ペティーたちは、ばれてしまったのでわけを本当にくわしく話しました。
でも、まだ5才ぐらいの男の子と4才の女の子です。分かってくれたのかな?
「ヘー、うそみたいだね、でも、しんじてあげるよ!ぼくは倉木明、こっちは妹のムメだよ」
「ぺティーさんとテティーさん、うちにとまれたらいいのになぁ、お母さんいいって言うかな?」
と、妹のムメが言いました。
「大じょうぶだよ! ぼくたち小さいし、ばれないよ。だからとめてください」
と、ぺティーたちはがんばっておねがいしました。

すると明が
「いいよ! ごはんはぼくの大好きなチョコレートでよければとめてあげるよ」
「うんー」
と、いう事で明の家にとめてもらうことになりました。
「ただいまー」
と、元気よく明とムメは帰ってきました。

元気というよりとってもうれしそうでした。
「ぺティー、テティー、あんまり動いちゃだめだよ。ゴキブリっていう変な虫にまちがえられて、つぶされちゃうからね」
「う・・・うん」

ちょっと不安そうなぺティーとテティーだけど、とてもうれしそうです。
そして夕食
「明−、ムメーごはんよー」
「はーい」
と、明とムメはよろこんで行きました。でもぺティーとテティーは明とムメの部屋でじっとしています。
「げっ」
と、明は声を上げました。
「どうしたの?」
と、お母さんが開きました。
「ぼくのきらいな、ほうれん草のおひたしじゃん!あんなにきらいだって言ったのに」
「そんなこと言わないで食べなさい!」
と、言われた時、明はひらめきました。
「そうだ! お母さん、ぼくの部屋で食べるから」
と、明は言うと階段を上がっていきました。
「いいけど残しちゃだめよ!」

そして、ぺティーとテティーがいる部屋に灯りをつけました。
「ベティー、テティーごはんだよ」
と、ほうれん草のおひたしをわたしました。

ペティーとテティーは大よろこびです。
「おいしいね、お兄ちゃん」
「うん。明さん、ムメさんありがとう」
と、うれしそうに全部食べてしまいました。

そして・・・
「ぺティーたち、ねる時間だよ!」
と、ふとんをひきはじめました。

ねている時に明はぺティーに話かけました。
「雲の世界ってどんな所?」
「とってもあったかくて、とってもすてきな所だよ」
「ふーん。いいなぁ。ぼくも行きたいなぁ」
と、うらやましそうに言いました。

そのころ雲の世界では・・・・
「なに! ペティーとテティーがいない!?」
と、ペティーとテティーのお父さんが心配しています。

すると、ペティーとテティーのお母さんが、
「きっとあの子たち下界にいったんだわ。雲がちぎれてるし・・・・」
「それでは、さがしに行かねば」

人間界では今は朝、でも今日は雨、ぺティーたちにとっては初めての雨です。
「ねえ、明さん、あの水はなあに?」
「あー、あれは雨って言うんだよ。雲からふってくるんだよ! 雨が降る時は雲の人が降りて来るって言うめいしんがあるんだって」
「ふーん、あれが雨っていうのかぁ」
と、ぺティーたちは不思議そうに見ていました。
「そうだ! ご飯を食べたら「かぐやひめ」って言うお話を読んであげるよ!」
「わーい、ありがとう」
と、わくわくしながらご飯を食べました。明とムメはごはんととんかつとみそしる。ぺティーとテティーはほうれん草のおひたしを食べました。
「それじゃー、約束のかぐやひめを読むね!

昔々ある所に子僕がいないおじいさんとおばあさんがいたんだって。それでおじいさんが竹を取りに行った
ら光っている竹があつて切りおとしたんだ。そしたらかぐやひめが出てきたんだって。

でも、かぐやひめが大きくそだったころに月からのむかえがきて月に帰ってしまったとさ。おしまい!」
「いいお話だね。でもおわかれは悲しいね」
と、ぺティーたちは感動しました。
「ぺティーたちは行かないでね」
と、ムメが悲しそうに言いました。

ぺティーたちも少し困っていたけど一応うなずきました。

そのころ雲の世界では下界へむかう準備をしていました。下界へ行くのは、もちろんぺティーとテティーのお父さん、お母さんに、村長さん、それに大の親友のわんころです。わんころは親には反対されていましたが大の親友のぺティーとテティーのために行くことにしました。
そしてペティーとテティーは・・・・
「あーあ。お父さん元気かなぁ」
と、つぶやいていました。
「出発!」
と、ペティーたちのお父さんの声で出発しました。

ゴオー。

下界へ着陸しました。さぁさがしださなきゃ!
「くんくん。ねぇ、おじさん、この辺にペティーたちのにおいがするよ!」
「うむ、行ってみよう」

ダッシュで走りました。
「わんころくん、においでさがしてくれ」
「ん・・うん」
と、言ってさがしはじめました。
「くんくん・・・あっ」
と、さけびました。
「ここだよ。」
「本当かい? え・・と倉木? 倉木という家にいるのか・・よーし、二階からとつ入だ」
「ラジャー」

んーぺティーたちは何をしているのかな? 明くんといっしよに進んでいるのかな?

まあ、ぺティーたちのお父さんについて行ってみましょう。
「あっ!」
「どうしたんだね。わんころくん」
「ねえ、あれぺティーたちじゃない?」
「本当だ」
と、ぺティーたちを見つけてしん入しました。
「ペティー! テティー!」
「お、お父さん?」
と、ぺティーとテティーはおどろきました。
「お父さんなの?」
と、明は悲しそうにききました。ぺティーたちは気まずかったけどコクッとうなづきました。
「えー、かえっちゃうの?」
と、ムメも言っています。
「さぁ、帰ろうぺティー、テティー」
と、お父さんは言います。
「分かったかえるよ‥・」
と、ぺティーが悲しそうに言いました。
「そうか、じゃ帰ろう」
と、お父さんが言った時
「待ってよ! ぺティーたちはぼくの家の子なんだよ!」
と、明が言いました。
「ごめん‥でも、かえらなくちゃ」

明とムメは涙があふれそうになりました。

するとテティーは、
「かぐやひめさんと同じだね。かぐやひめをよんでくれた時に明さん言ってたじゃん、おじいさんとおばあさんも悲しいけど、かぐやひめだってつらいって」
「いくぞ、ぺティーテティー」
と、お父さんが言いました。
「ペティー! テティー!」
と、明がよびとめました。
「雨の日、また会おうね!」
「うん! 約束ね!」
と、言って、二人は雲の世界へ帰って行きました。

みなさんも雨の日やおまつりの日には足元に気をつけてくださいね。ぺティーとテティーがいるかもしれないから−。
あと、よく晴れた日、雲を見てみましょう。
ペティーとテティーの形をした雲があるかもしれませんよ。

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