第三回島清ジュニア文芸賞「散文賞」(小学生の部)「森の危機を救え『勇気ある小さな森の仲間たち』」その2

ページ番号1002749  更新日 2022年2月15日

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美川小学校5年 熊田圭祐

4.ドリーム、キッカとの出会い

「小屋の近くの木と話をしてみようか。」
とマウンテンは、立ち上がり出口へむかって歩きだした。その後に、町ねずみ、きこりねずみという順番で続いて行きました。小庫の目の前の木の上に、ねずみ達は登った。
「マインド、イート、よく聞いておいてくれ。木としゃべる言葉は、ふつうの、言葉でいいよ。しかし、おきての言葉を、言わないと、木は、しゃべらない。おきての言葉は、ロウンリィロウンリィだ。さあ、やってみなさい。」
とマウンテンは、低い声で言いました。
「ロウンリィロウンリィ。」
とマインドは、さけびました。すると、その木が、急にふるえ、ねずみ達の前に、木の顔があらわれた。
「これは、めずらしい。まちねずみの方ですな。お目にかかれて光栄です。お名前は。」
その木は、ゆっくりとした口調でしゃべり初めました。マインドは、
「こちらこそ、会えて光栄です。ぼくの名前は、マインド。ぼくの横にいるのは、イートです。」
と答えました。
「マインドにイート、いい名前をもっているねぇ。」
と木が、2匹をみおろして青いました。
そして、マウンテンが、
「マインド、イート、終る時は、サンサンと言うんだ。」
「サンサン。」
とイートが言いました。するとそのとたんに、木の顔は、静かに消えさりました。
「すごかった。本当に、しゃべるんだ。ぼくは、びっくりしたよ。ライフとも、しゃべってみたいな。無理だと思うけど。さっき言っていたライフのそばには、かくれ家があったんだろう。今もかくれ家はあるの。」
とマインドは、少し小さな声でたずねました。
「ああ、森の奥にあって、ライフの友達でドリームっていう名前の木だ。」
とフォーレストが、言いました。
その返事を待ってましたという声で、マインドは、
「しばらくその家に住めないかなあ。少しきこりねずみの仕事をしてみたいし、あのライフも助かるような気がするんだ。おねがい、住まわしてくれよ。」
マインドが、言い終わったとたん、イートも、
「ぼくも、たのむ。」
と言って、頭を下げた。リーフが、まかしとけというような大きい声で、
「おやすいごようだ。それに、中は広いし、九匹じゃまだがらがらだよ。」
と、言いました。
「それなら、ドリームヘ向かうとするか。さあ、ついて来い。」
とマウンテンは、立ち上がり歩きだしました。
しばらくすると、マウンテンが、
「みんな気をつけろよ。この辺は、たかが多いぞ。」
と言って、マウンテンは、下草の中をかくれるようにして小走りに、動きだした。それに続き、八匹のねずみも一緒に動きだした。また、それからしばらくして急に、マウンテンが、しゃがみこんだ。そして、仲間のきこりねずみも、しゃがみこんだ。それを見ていたまちねずみも、しゃがみこんだ。
マインドが、なぜしゃがみこむのかと言おうとした時、一羽のとんびが、頭上をとびさった。マウンテンは、とんびがとびさった後すぐに、立ち上がりかくれながら小走りに動きだしました。
それから、マウンテンが、
「この辺にてきはいない。だが、まだきょりがあるぞ。」
と、くるりとふりむき言いました。
仲問のねずみ達は、てきがいない安全な場所なので、ごちゃごちゃしゃべりながら歩きました。
そして、1時間ほど歩きました。そこには、もう何千年もたっているような、とてつもなく大きな木がありました。
「さあ、着いたぞ。これが、ドリームだ。大きな木だろう。」
とマウンテンは、ドリームに登って言いました。みんなが、ドリームの木のかくれ家である穴の中に入ってから、マウンテンが、
「ロウンリイロウンリィ。」
とさけびました。すると、木の中に顔があらわれました。
「マウンテン、なんのようだい。」
とドリームは、ゆったりとした口調でしゃべりました。
「あの、新しい仲問ができたんだ。町ねずみのマインドとイートだ。あとは、自己紹介を自分達でしろよ。」
と、言うとマウンテンは、その場にすわりました。
マインドは、元気よく、
「ぼくは、マインド。まちねずみだ。物置き小屋の集まりに行って、マウンテン達に会ってここまできた。しばらくおねがいします。」
「ほう、元気のいい若者じゃ。」
と、ドリームは、顔を見つめながら言いました。
「マインドと同じく町ねずみのイートだ。ここへ来た理由は、マインドといっしょだ。よろしく。」
「おなかが、すいたろう。食べ物なら、いっぱいあるぞ。ゆつくりしていくがいい。」
とかん高い声でドリームは、言いました。
「もう、四時くらいだなあ。さあ、マインドとイート、ドリームに住んでいる生き物や食べ物が、置いてある場所へ案内しよう。」
とマウンテンは、穴の奥の方へ向かって歩きだした。
そして、階段を下りると、そこには果物やきのこがいっぱいならべて置いてありました。
「すごいだろう。」
と言ってマウンテンは、大きなかきを持って穴の外へ出ていき、木の上へどんどん登っていきました。それを見ていたイートが、
「マウンテン、なんでかきを持って上へ行くんだ。」
と不思議そうに、たずねました。
マウンテンは、
「今にわかる。見ていろ。」
と表情をかえずに、一つの小さな穴の中へ入っていきました。
そして、マインドとイートが見たものは、キツツキでした。
「わぁ。」
とマインド達は、さけびました。
マウンテンは、キツツキに、
「新入りで、マインドとイートだよ。」
そこに、
「キッキ、キッキ。」
とかわいい声が、聞こえてきました。
「生まれたのか。」
とキツツキの顔をのぞきこみながら言いました。
「おかげさまで、生まれたよ。キッ太というんだ。仲良くしてくれよな。今日はカキか。重かったろう。」
といつもあっているような口調で、キツツキは、話をしました。すかさず、イートが、
「キツツキさん。マウンテンとは、どういう関係で。
それに子供の、いや、キッ太の後にいるのは奥さんで
すか。」
と、聞きました。
「あぁ、つまのキッツだ。ぼくの名は、キッカだ。マウンテンは、穴から食べ物やくだものを持ってきてくれるんだ。つまり友達だ。本当は、自分が取ってこなくちゃならないのだけど、足のほねをおってしまって。まあ、そういうわけだ。」
とキッカは、近づいてきて言いました。
「私は、つまのキッツです。どうぞ、仲良くしてください。」
と言われ、マインドとイートは、
「こちらこそ、仲良くしてください。」
ときんちょうした声で、言いました。
「さあ、そろそろ出るか。じゃあな。」
と言い、マウンテンは、穴の外へ出ました。
それから、三匹はもとの穴にもどりました。
「今から好きなことをしていいよ。イートとマインドに地図をわたすから、こっちに来いよ。」
と言って、マウンテンは、手まねきをしました。マインドとイートは、すぐさまマウンテンのところへ行き
ました。
「これが森の地図だ。これは上から見た図だ。マイン
ド、イート、森を救いたいのなら、これからキッカのいた穴で、会議をする。救いたい気持があるのなら、
来い。」
と言って、マウンテンは、食べ物の置いてある穴へ入って、りんごを持ち出して来ました。

イラスト:森の地図


マインド達も、かきを持ってきました。食べようとした時、イートが、
「マウンテン、水はどこにあるの。」
と聞きました。マウンテンは、
「食べ物が置いてある穴のすみの赤い王を、どかすとでてくる。」
と言って、りんごをかじりました。

5.ライフを取りもどせ 1

夜、穴には、キッカ、キッツ、キッ太(ねている)、マウンテン、フォーレスト、リバー、ヒル、マインド、イート、ドリームが集まった。
「他のねずみ達は、仕事が終ったらくる予定だ。では、始める。ぼくが司会をする。まず、助かると思う人は、手を挙げて。」
と言い、ドリーム、キッカ、キツキ、フォーレスト、マインドが手を挙げました。
「5匹ということは、後の4匹は、無理だということだな。ドリーム、あなたは、助かる方に手を挙げましたね。理由は。」
と聞かれ、ドリームは、
「理由は、可能性があるからだ。あのきつね達は、三っ山をこえた所にいるあかぎつね達だ。この森にいるのは、ぎんぎつね達だ。昔聞いたことがあるが、あかぎつねは、ボスが1匹いるらしい。そのボスを、こわがらせたりすると、すぐににげてしまうそうだ。それに、ねずみを取ったりするのも全部、ボスの命令をうけてからだそうだ。だから、こっそりボスに近づいて、ボスをおどかせばいい。どうおどかすのか?と聞くんだろう。じつはあかぎつねのボスは、たんどく行動が苦手らしい。だから、ボス1匹になったところをおどかす。そうすれば、大丈夫だ。」
と、みんなをとりかこむように、言いました。
「それでは、反対意見はないようだな。それでは、作戦会議にうつろう。まず、今ここにいるのは全部で、6匹と1羽とドリーム。キッツ母とキッカは、数えない。
と、マウンテンは、きっぱりとした声で言いました。
「大丈夫だ。私達キツツキ隊は、50羽はいる。それに、仲間のウグイス隊50羽、ヒタキ(ヒタキ科の鳥)隊30羽、ツグミ隊30羽と合計160羽だ。これだけいれば大丈夫だ。あと、さっきから聞きたいんだが、きつねは、何匹いるんだ。」
とキッカは、言いました。
「今のところ、20匹だ。」
とマウンテンは、ため息まじりに言いました。
「20匹か。となると早くおっぱらわなくては30匹を、こえてしまうなあ。160羽じゃ足りなくなってしまう。」
とキッカが、がっかりしたような声で言い肩をおとしました。
「キッカ、大丈夫じゃよ。私の友達のシカのニシカにも、協力してもらおう。まあ、みんなで明日、私の幹の下の穴から入って地下室に集まって、もらいな。今日の話は、これくらいだ。」
とドリームは、顔を消しました。
「じゃ、明日の夜、今言った場所に集合だ。私とキッカは、この知らせを、仲間達に伝えてくる。」
と言って、キッカとマウンテンは、外に出ていきました。ネズミ達は、もとの穴にもどり深いねむりに入りました。

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