第六回島清ジュニア文芸賞「散文賞」(中学生の部)「夏と空と自転車と」その2

ページ番号1002728  更新日 2022年2月15日

印刷大きな文字で印刷

美川中学校一年 居村理美

目を開くと自分の部屋ベッドの上。さっきの事は夢かと思ったけど、違ってた。だって鏡をみると、目は真っ赤にはれてて、頭には白い花弁が乗っていたから。
私はうれしかった。あの子が存在することが夢じゃなかったから。あの風景が実際に目の前にあったから。
私はその一つ一つがうれしかった。
あの子の言葉は空想でもなんでもなかった。
直接私の心に届いたんだ。
「うれしいっ!!」
そう言ってベッドに倒れこんだ。その時、「ミキ───!!早く起きなさいよ!!」とかん高い母の声が聞こえてきた。うわっ。
ハァ・・・。人が余韻にひたっているとゆうのに・・・。あのオバサンは・・・。
まぁ、現在の時間は七時四三分。母が怒るのも無理もないだろう。私は階段を下りていった。
「そういえばあの子の顔あんま分かんなかったな・・・。」そんな事をつぶやきながら。
居間のテーブルには目玉焼きとトースト、あとウィンナーが並んでいる。
とりあえず今日は時間がヤバイのでトーストのみ食べていく。
そして、歯をみがきながら制服を着る。ふと時計を見ると七時五〇分。よし、間に合う。
「ミキ!!何してるの!!早く行きなさい!!」
あーあー、七分間ですべてのしたくを終わらせたんだから、ほめてほしいくらいだ。
でもそんな事思ってるくらいヒマじゃない。私はカバンをひっつかんで家を出た。
「いってきまーす!!」
自転車にまたがって、出発。
とにかくこいで、こいで、こいだ。そんな時、背後で陽気な声がした。
「あんれー?どこのべっぴんさんかと思ったらミキちゃんじゃーん。」
あずみだ。あんたなんでここにいんの。
「何してんの?何してんの?」
「マッハの速さに挑戦してんの。」
てきとうに返事をする。てかなんで今の私の速さに余裕でついてきてんだよ。あんたは。あ、目の前に信号。赤。ブレーキ。ストップ。
「あーぁ。あずみのせいで止まっちゃったじゃん。」
「何で私の責任なの!?あんた、意味不明。」
さっきあずみが私に余裕でついてきてるなんて思ったけど、今はあずみも肩で息してる。
「やっぱ、あずみも人間だなぁ。」
「は!?何、イキナリ。ミキなんか怖っ。」
「まぁまぁ。気にせず、気にせず。ほらもう信号青じゃん。」
「あっ、ホントだ。よし、行くべ。」
私達はまた自転車をこいでゆく。

「おー。けっこう早く着いたじゃん。」
息を切らして、あずみに話しかける。ただ今の時刻は八時〇一分。学校の校門前。
「あー。マジで?とばしたかいがあったぁ。」
あずみもゼーゼーいってら。アハハハハ。なんて、心の中で笑う。自転車を止めながら。
「さぁーて、玄関行くか。」とあずみ。
「オー。」って私。
玄関で内ばきにはきかえる。
「よーし。ミキ、競争じゃぁ。」とあずみが階段の前でそんなことを言ってくる。
「ハァ!?そんな体力ないから。」
「大丈夫。人間、いざとなれば超人的なパワーが出せるから。」
「その、いざって時がコレ?何かショボッ。」
「四の五の言わずにやるんだよっ。」
結局、無理矢理やることになってしまった。あずみがよーいドンを言うらしい。
「ほらっ。ミキやるよっ。」
「ヘイヘイ。」
スタートは階段より2m先の廊下から。
「ミキ。いくよぉー。」
「オッケ。」
「よ〜いドン!!」
私達は走りだした。階段の前にきた時は私が優勢。階段はインコースを確保。勝てるかも。でも階段にくるとあずみが早い。やばい抜かれそう。ただ今3階に着いたトコ。私達のクラスは4階にある。それまでに引き離さなくちゃ。急げ。急げ。急げ。ただ今3階のおどり場。走る。走る。走る。あと7段。あずみは真横。ヤバイッ、とかは直感。私は最後の最後で2段飛ばし。ただ今4階。ゴールだ。そう思った時にあずみが一.三二秒遅れでやってきた。「ミキ、足速ぁ〜体力ないって言ってたじゃん。」あずみ、ゼーゼーいってる。 「人間いざとなれば超人的なパワーが出せるんでしょ?」ちょっと余裕をこいて言う私。
「ショボッ。てほざいてたのあんたじゃんかぁ。」
「どんな勝負でもムキになってなんぼなんですぅ。」
そんなことを言って教室に向かう。教室の扉の前に立つとガヤガヤとさわがしい。といってもいつものこと。
私は扉を開ける。
第一声は「みなサーン!オハヨーウサァーン!」・・・・・
ってあずみもかよ!!なんか知らんがハモッちまったぁ!!!
「あーぁ。ミキとハモッちゃったぁー。」
「こっちのセリフじゃぁ!!!」
そんな私達のかけ合いに、なぜか教室中が笑ってる。悪い笑いではなく良い笑いで。
「何スか。私ら何かおかしいんすか。」
「うん。ミキが一方的におかしい。」
「ハァ!?あずみが一番おかしいよ。自覚しろ。」
「ム〜リ〜で〜つ〜。」
机に向かう。はぁー。朝から疲れた・・・。
でもテンションを上がらせんのには充分だ。今日は楽しく過ごせそう。うれしいなぁ。
チャイムが鳴る。
「はぁー!?なんか早くね!?チャイム鳴んの。」
そうだ、前の席あずみじゃん。この前席がえしたんだっけ。
「ガッコ着いたときもう八時過ぎてたじゃん。ふつーに考えろぉ。」
「ハァー!?ミキなんか最近イヤなキャラ作りでもしてんの?言い方がムカつく!!」
「ハイハイ。」ってさわいでたら、先生が教室に入ってきた。
「ゲー。来たよ。なーあずみぃ。今日、ふけよぉぜぇー。」小声であずみに話しかける。
「うん。オッケェ。でもドコへ行くぅ?」
「うーん。どこでもいいよ。でもガッコの中はやだ。」
「よし。分かった。てかあたり前。」
自分でも分かってるけど、変だと思う。だって遅刻をしたくないくせに、学校はちゃんとさぼる。
まぁ理由は分かってる。あずみに合わせてんの。あずみのモットーは「一日にたくさんの人に会う。」なんだってさ。まぁ教員をのぞいて。
あずみって人一倍のさみしがり屋でたくさんの人に会わないと落ちつかないらしい。だからせめてクラスの人達には会わせてやろうといつもふつうに登校してる。
でも私は勉強が大嫌いなのでたいがいの日は学校に来てすぐに出ていく。
まぁ私もクラスの人とはふつうに仲が良いし、別に嫌いじゃない。こんな生活も悪くない。なんて思ったり。
さて、今日は朝礼が講堂であるのでそれまでに学校を抜け出すことにした。
まずクラスごとに並んでいくので、私のクラス一年四組は列の最後についていく。
そして私達は途中まで列について歩いていく。その後4階のどこかの教室に入って4階に人がいなくなるまで待つ。そこを見はからって自分の教室に戻ってカバンをもって学校から出る。ちなみに講堂についた時の人数確認はクラスの室長が行う。その室長も私達のグルなので人数はごまかしといてくれるらしい。ただごまかし一回につきパン一個おごりはどうなんだろう。
まぁそんなコトはどうでも良くて。
ホラ、もうすぐ時間だ。みんな廊下に並び始めた。
「あずみぃ。行くぜぇ。」
「イェッサー」

より良いホームページにするために、ページのご感想をお聞かせください。

このページは役に立ちましたか。

このページに関するお問い合わせ

観光文化スポーツ部文化課
〒924-8688 白山市倉光二丁目1番地
電話:076-274-9573
ファクス:076-274-9546
観光文化スポーツ部文化課へのお問い合わせは専用フォームをご利用ください。