第五回島清ジュニア文芸賞「奨励賞」散文「有衣とルークの春夏秋冬」その2

ページ番号1002741  更新日 2022年2月15日

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美川小学校六年 山崎紘彰

第二章 春 五年生のおもかげ

安藤家 夜
「ルークこの家にきてもう何年になる?」
ベットに腰かけながら言った。
「ん〜だいたい八年ってとこじゃない。」
とルークは、カーペットに横たわっている。
「そっか、この家にきて八年にもなるのか……いろんなことがあったね。」
「一年生の時、海で遊んだことや、四年生の時、沙樹といっしょに滑り台で遊んでいたらルークがころがって下にあった水たまりにズテーンと…」
「それを言うなら有衣だって三年の時、家で習字をしてたら顔に墨汁がべっちゃり墨が付いたじゃん。」
「ふふっ。そうだね……」
と有衣は同感だと言うように笑いながら言った。
「明日から新学期だ。おれは、家でのんびりしていればいいけど、有衣は学校…がんばれよ。」
「そんなことわかってるよ。あっ、もう十時だ。わたし、明日、学校だからもう寝るね。お休み。」
「うんお休み……。」
次の日
「今日から新学期かぁ〜。」
有衣は、半分ためいきをつきながら言った。
ここは小岩井小学校6年3組・・有衣は机にうつぶせになっていた。
「有衣ちゃん、おはよう。」
「あつ、沙樹ちゃん・・」
「有衣ちゃん、今日はちょっと元気ないねえ。」
「そりゃそうだよ。なんかすっごく眠いんだよ。」
「休みぼけみたいだね。」
沙樹は、笑いながら言った。
「沙樹ちゃんは休みぼけにはならないの。」
「まぁ、わたしも、ちょっとはあるけど、たいしたことはないかな。」
「いいなぁ・・」
二人が、こんな話をしている間に、時間はどんどん過ぎていき、もう八時四十五分になっていた。
「あっ、有衣ちゃん大変もう体育館にいかなきゃ遅れちゃうよ。」
「それに新しい先生の紹介と、始業式、入学式がはじまっちゃう!。」
「えっ、もうこんな時間だっけ。」
有衣は時計をみると、八時五十分
「やばい〜。」
と叫んだ。
有衣が叫びたくなるはずである。もう教室のなかには、有衣たちをあわせてもう四人しかいなかったのだ。
それにあとの二人はもう教室から出ようとしていたのだから…
「沙樹ちゃん早く行こう。」
有衣は沙樹の手を引っ張ると急いで教室から出て体育館へ向かった。
有衣たちが体育館に行くともうほとんど全学年がならび終わっていた。
「わたしたちも早くならばなきゃ。」
わたしと沙樹は、急いで六年三組の列にならんだ。
先生たちの冷たい視線があたってちょっと恥ずかしかった。
それから、わたしは校長先生の話はもちろん、始業式の中身全てはしっかり聞いたり、見たりした。
終わって十分後。当たり前のことだけどクラス全員が教室にいた。
「沙樹ちゃん、さっきの一年生の子かわいかったね〜」
「うん、緊張してたらしくて、クシャミを三回も・・」
有衣と沙樹が話をしていると、ちょうど先生がやってきた。
そして長い長い話が始まった。わたしが先生の話で覚えているのは、先生の名前が、羽称賢ということだけだった。
わたしは、早く家に帰りたい一心で終わりの会に取り組んだり、ランドセルにお知らせなどをつめこんだりした。その理由は、後でわかるので・・・・・そして、
「さようなら。」
になったとき、わたしはやつと家に帰れるなぁと思った。
でも・・・・・
「安藤、松中おまえらちょっと教室に残れ。」
わたしと沙樹ちゃんは顔を見合わせた。
五分後
羽称先生は、走って教室にやってきた。
「安藤、松中おまえら六年生としての自覚というものがないのか。」
羽称先生は怒りながらいった。
「6年生になったらなあ、5年生のときみたいに6年のしっぽを見ているわけにはいかないんだぞ。下級生のことをもっと思いやって下級生にやさしくする。それに第一、下級生に6年としての良い見本を見せてやらないと下級生がそれをまねしてしまうんだ。もしさっきおまえらがしたことを下級生がまねしてしまったらどうする。大変だろう・・・・・・・・・・・・・残り略」
長い話に耐えきれなくなった安藤(有衣)は、半分先生の性格にすがるように頼んでみた。
「先生その話はいいですからあの、そのなんていうか家に帰らせてもらいませんか・・・・・・」
すると・・・・・・
「ふう・・・・・・先生もこれから職員会議があるし、しょうがないもう家に帰ってもいいぞ。でも、今言ったことを忘れるんじゃないぞ。」
「は〜い」
「本当にわかっているのかな・・」
先生は窓から校門を出ている有衣と沙樹を見ながらそう思ったという。
話は変って、ここは下校途中の有衣と沙樹
「はぁ、下級生にやさしくかぁ。出来るかな。」
と有衣は自信なさそうに言った。
「まぁ、有衣ちゃんならきっと出来るよ。」
沙樹はなだめるように有衣に言った。
「でも・・・・・・」
有衣は、しょんぼりして言った。
「あっ、そういえば有衣ちゃんどうしてさっきから急いでいるの?」
沙樹は急に話題を変えた。
「うっ、そう言えばルークにおやつ買っていかなきゃいけなかったんだった。」
有衣は顔を青くしながら、言った。
「えっ、でもそんなにたいしたことないじゃないの。」
沙樹は空を見ながら言った。
「たいしたことあるのよ。ルークと約束しちゃったんだよ。」
有衣は手を力いっぱい降りながら言った。
「ゆーびきりげんまん♪うっそついた〜ら、ゆーいのおっきにいりーのクッションこーわすゆびきった。って。」
「もしかしてそれって、限定のミルクキャットのあれ・・・・・」
こんどは沙樹まで顔が青くなる。「うん・・・・・・」
「それじゃ急ごうペットのマリーまで競争だよ」
春のなま暖かい風に向かって二人は走り出した。

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