第八回島清ジュニア文芸賞「散文賞」(小学生の部)「七つの海をこえた先にある夢 サムティと仲間達」

ページ番号1002711  更新日 2022年2月15日

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美川小学校 五年 熊田 雄仁

目次
第一章 サムティ
第二章 夢を求めて
第三章 最初の仲間
第四章 最初の挑戦 「長く生きている者の知恵」
第五章 新たな仲間
第六章 力を合わせて
第七章 友情の芽生え
第八章 幸運
第九章 ラッコの貝割り石
第十章 目指すもの(1) 「エドワンの心配」
第十一章 目指すもの(2) 「覚ご」
第十二章 き険な試練
第十三章 “夢の石”の正体

第一章 サムティ
寒い風がふく夜にうかぶ月、その月の光が暗く静かな海を、照らします。その光の中に一匹のイルカが、いました。
その名はサムティ。
サムティは、目の前に広がっている海を見ながら、ある事を思い出していました。
「七つの困難な海をこえた先に、不思議な夢の石があるんだ。」
と、昔、今はもう追い出されてしまった群れのだれかが、言っていたことです。“夢の石”とは、七つの困難な海をこえた先にあり、夢をかなえてくれる石です。
サムティは、産まれたころから体が弱く、群れでは、一人ぼっちでした。そして、何年かは、いっしょに過ごしていました。
しかし、昨日、目を開けた先には、この一面の海が波一つ、音一つしなくなるような静けさで、群れのすがたはどこにもなかったのです。
でも、サムティは、仲間のことをうらんではいません。それが、海のきびしさなのです。

第二章 夢を求めて
やがて、夜が明け、波が岩にあたる音だけが、かすかにぱしゃん、ぱしゃんとしているだけです。前の日よりしおは、わずかにひいて、海岸と岩山の間の岩は、ほんの少し顔を出しています。
サムティは海鳥をさがしていました。“夢の石”が本当にあるのか、うわさ好きの海鳥なら知っていると思ったからです。
しばらくすると、ウミネコが三羽、魚を取っていました。
「ねえ君達、ちょっと話があるんだけど。」
「今、飯食べてんだ。ちょっと待ってな。」
「うん。」
三羽は、ご飯に夢中でした。そして、サムティの方を向いて、
「何だい。何か聞きたいんだろう。」
と少しじゃまくさそうな口調で、言いました。
「あの・・・“夢の石”って知ってますか。」
「あぁ、あれね。あれならもっとくわしいやつがいるよ。」
「だれですか。」
「もう少し先に行くと大きな岩場がある。その下で休んでるクジラに聞きな。そいつは昔、“夢の石”をさがしに四つ目の海まで行ったらしいぜ。」
「本当に。それはすごいや。ありがとう。」
サムティは、すぐさま海へもぐりました。
「せっかちなやつだなぁ。あのがんこなクジラが、かん単に協力してくれるといいけど。」

第三章 最初の仲間
ザブーン。大きな波が打ちつけています。サムティは海鳥から聞いたとおりに沖へとむかいました。そこには、大きな岩場がありました。
「大きいなぁ。多分、これがクジラのいる岩場だな。」
サムティは大きく息をすいこむと、岩場にそって、もぐりました。そこには、ゴツゴツした岩が広がっていました。クジラのいる気配などなく、サムティは不安になってきました。
その時、不意に大きなどうくつがありました。そのおくの岩場になにやら大きなものがいます。
「あの、クジラさんですか。」
とサムティが辺りをうかがいながら、小さな声で言いました。すると、そのかげから、大きな大きな水のあわが立ち上がりました。
「だれだい?」
「えっと、イルカのサムティといいます。ちょっとお話が聞きたくて・・・。」
「わしの元にくるとは、物好きなやつだな。ハハハ。」
そう笑うと、サムティの目の前に大きなクジラがすがたを見せました。
「そんなに、おどろくこともないだろう。わしは、エドワンって名前だ。一体、何の話を聞きたいのだ?」
サムティは、声がつまりそうになりながらも、
「夢の石についてなんですけど・・・。」
と、勇気を出して言いました。
すると、エドワンは少しだけ顔をしかめました。
「本当に物好きなやつのようだな。」
「昔、エドワンさんは、夢の石を探しに行ったと聞いたのですが、本当ですか。」
「まあな。若いころに、探しに行った。」
「ぼく、探しに行きたいと思います。どうやって、行けばいいのか教えてくれませんか。」
「悪いことは言わん。やめておけ。つらいだけだ。」
エドワンは、大きなため息をつきました。
「かん単なことだとは思っていません。でも、このまま生きていくわけにもいきません。」
サムティは、力強く言いました。
「どうして、そんなに行きたいのだ?」
「ぼくは、群れから追いだされて、一人です。夢の石は、ぼくの希望だからです。」
エドワンは遠くを見る目つきになり、しばらくだまっていました。
「わしだって、一人じゃ。この岩場で、静かにくらすのも悪くは無い。このような生き方では、だめなのか?」
「はい。」
サムティは、確かな眼差しで答えました。
「分かった。そこまで言うなら・・・。」
「本当ですか? ありがとうございます。」
「久しぶりに面白いものが来たと思ったが、すぐにまた、行ってしまうのだな。ハハハ。」
エドワンは、また大きなため息をつきました。
「ところで。」
急に、サムティが思い出したように言いました。
「あの、いっしょに来てくれませんか。」
「そんな事は、無理だよ。ハハハ。じゃまになるだけだ。」
「じゃまじゃありません。エドワンさんの経験は、とっても大事だと思います。それに、一人ぼっちの苦しさもわかります。どんなに弱くても、やれることがあると思います。一緒に、行きましょう。」
「本当にいいのか?」
「もちろん。ぼくにとっては、初めての仲間ですからね。やった!」
「ありがとう。サムティ。では、最初の海、“あらしの海”へ行こう。」
「はい!」

第四章 最初の挑戦 「長く生きている者の知恵」
空はくもり、波が高くなってきました。どんよりとしたふん囲気が、辺りを取りまいています。
「さぁ、ここが最初の海“あらしの海”だ。」
とエドワンが、空を見上げながら言いました。
「どんな海なのですか?」
「名前の通り、あらしの海だ。空を見てごらん。荒れてきただろう。もう少し進むと、空も海も大荒れになって、どっちに行けば良いのか分からなくなる。」
「そんな・・・一体どうするのですか?」
サムティは、かたをすくませて言いました。
「深い海を通って行くのだ。そこは、荒れてはいないからね。」
そう言うとエドワンは、大きく息をすいこみ、もぐりました。後に、サムティも続きます。エドワンの言った通り、深海は静かでした。
「意外とかん単ですね。」
「ハハハ。まだ、一つ目だからな。これからが、大変だ。」
エドワンは、サムティを見ながら答えました。

第五章 新たな仲間
「さあ、行くぞ。」
一つ目の海をこえたサムティは、エドワンと二つ目の海へ向かっていました。だんだんと海水が冷たくなり、体が冷えはじめたころ、
「そろそろ二つ目の海だ。」
とエドワンが言いました。
「それよりも、この辺りは寒いですね。」
サムティは、ブルブルとかたをふるわせながら、そう言うと、エドワンは
「ハハハ。海面に上がって、前の方を見るといい。」
と言いました。言われるままに、海面へとあがると、前方に大きな白いかたまりが広がっています。よく見ると、
「あ! 氷だ。」
「二つ目の海、それは、“氷の海”なんだ。」
サムティの横に顔を出したエドワンが、言いました。
「さて、どうしたものか。」
エドワンは、困った顔をしています。
「どうしたのですか?」
とサムティは心配そうな声でたずねました。
「“氷の海”は、氷の間の水路を通って行くのだが、迷路になっている。ここでさえ寒いのだから、迷ってしまうと大変なことになってしまう。まして、氷は海底まで続いている。」
とエドワンは、ひたいにしわをよせたまま言いました。
「どうにかして、水路の行き方を知らないとだめですね。」
「その通り。けど、地図のようなものでも意味がない。氷が動いて、水路がこくこくと変化していくからね。」
「そんな・・・。」
「しばらく、この辺りで様子をみよう。」
エドワンは、そう言いました。二匹は、それぞれに、周りを探さくしに行きました。
「はあ。このままじゃ、一つ目の海しかこえられないじゃないか。」
サムティは、暗くしずんだ気持ちで辺りを見回していました。
その時、海底の方に、二つのかげがありました。どうやら、“氷の海”へと向かっているようです。追いかけながら、
「おーい。待ってくれ。」
とサムティが言うと、二匹のペンギンは、こちらへ向かってきました。
「なんだい、イルカ。」
「どうしたのですか、イルカさん。」
二匹とも、とてもそっくりでした。
「ぼくは、サムティ。“夢の石”を探しているのだけれど、“氷の海”の通り方を知らない?」
すると、おとなしそうなペンギンが、
「私、マリー・トリート。マリーとよんでね。私達もこの海を通る予定なの。」
と言いました。続けて、
「おれは、マーク・トリートって名前。マークってよんでくれ。おれたちは、“夢の石”がある海へ行く予定だ。」
と言いました。
「何のために行くの?」
とサムティがたずねると、
「“夢の石”がある海にある、海草が必要なの。」
「その海草は、どんな病気にもきくらしい。それで、お母さんのために取りに行くってこと。」
二匹は、そう答えました。そして、
「おれたちは氷の上を通るから、イルカとは行き方がちがう。」
とマークが言いました。
「そうだよね。水路の行く先がわからなくて・・・。」
すると、
「私達が、氷の上から教えてあげましょうか?」
と、マリーが言いました。
「本当に、ありがとう。」
サムティは、心からお礼を言いました。
「困った時は、おたがい様さ。」
マークがそう言っている時、エドワンが現れました。
「どうやら、何とかなりそうだね。ハハハ。」
「あなたは?」
マリーが、たずねます。
「ぼくの仲間のエドワンだよ。とっても物知りだよ。」
「よろしく。」
そう、二匹のペンギンが言いました。
「こちらこそ。さて、今日はもうおそい。明日の朝に、出発しよう。」
四匹は、たがいについて楽しくしゃべり、ねむりにつきました。

第六章 力を合わせて
次の日の朝、早くから四匹は、“氷の海”に向けて準備をしていました。
「では、行こう!」
マークが、みんなの顔を見ながら言いました。
氷の近くに来ると、海水の冷たさは、人一倍でした。まず、ペンギンの二匹が氷の上に上がりました。
「サムティ、エドワン、右の水路を左に進んで。」
マリーが言うと、マークは、
「おれは、もうちょっと先を見てくる。」
と言いました。
そういう感じで、四匹は、順調に進みました。もちろん、と中、いろいろなことがありました。進んでいた水路が急に行き止まりに変わったり、氷がさけて、水路が出来たりなどです。
「そろそろゴールが、見えてきたわ。」
とマリーが、言いました。
「やった!」
サムティとマークは同時にかんせいをあげました。そして、マークはそのまま
「やっほー。」
と言いながら、氷をすべって行きました。すると、
「うわぁぁぁ。」
という声が聞こえたかと思うと、三匹の視界からマークが消え、
「ボッチャーン。」
と大きな音が、聞こえました。
「大丈夫。」
三匹があわてて近よると、氷のすき間にある水たまりにマークがはさまっていました。
「助けて。」
「本当におっちょこちょいね。」
「ハハハ。マリーはきびしいね。」
「笑ってないで、助けて。」
四匹の笑い声が、ひびきました。
その後、無事にマークを助け出したみんなは、無事に、“氷の海”をぬけたのでした。

第七章 友情の芽生え
海が、おだやかに白波を立てています。そこに、四匹の姿がありました。彼らは、三つ目の海“うずの海”のすぐそばまで来ていました。
「さて、うずの海が見えたぞ。」
エドワンが、言いました。目の前では、白波が円形にはげしくうずまいています。
「すごいな。」
マークは目を丸くしています。
「じいさん、どうやって進む予定だ? じいさんとサムティは何とかなりそうだけど、おれらには無理だぞ。」
「そうあわてるな。ハハハ。マリーとマークは、ワシの上でも乗っていなさい。ワシの大きさからすれば、こんなうずぐらいどうしたこともないわい。」
とエドワンは、自信たっぷりに言いました。
「そうだな。じゃ世話になるよ。」
と、マークは言って、エドワンの上にピョイッととびのりました。続いて、マリーも乗りました。
「気をつけて下さいね。」
とマリーは言いました。
「もちろん。ぼくも、エドワンの上に乗りたいな。」
そうサムティはじょうだんまじりで、言いました。そして、
「では、“うずの海”へ」
「オー!」
四匹の声が、空高くひびきました。

第八章 幸運
太陽が海に、しずみかけています。無事に四匹は、“うずの海”をわたり終えました。
「つかれたよ。」
サムティが、ねむそうな目で言いました。
「おつかれ様。」
マリーが、それに答えます。今では、四匹ともおたがいにとても信らいしていました。
「四つ目の海は、一体どんな海かな? どんな海でも、がんばるぞ。」
サムティは、目を閉じました。
「起きろ〜。」
急に、マークの声が聞こえます。
「どうしたの?」
サムティとマリーが声をそろえて言いました。
「ねている間に、どうやら海流に流されてしまったようだね。」
サムティのとなりから顔を上げたエドワンが、眠そうな目を開けて言いました。
「やっぱり。全然見た事もない場所だからね。」
マークが言いました。サムティは周りをよく見ました。どうやら二匹の言っていることは本当のようです。四匹の目の前には、大きながけがそびえたっていました。
「どうしよう。」
サムティとペンギンの三匹が、落ちこんでいると、
「どうやらワシらは、幸運だったみたいじゃ。」
「え? どういうことですか?」
「このがけは、四つ目の海“どうくつの海”のスタート地点じゃ。」
「本当に? ねている間に?」
サムティは、ポカンと口を開きました。
「ああそうじゃ。その通り。」
「そんなことって、あるのかよ。」
上ずった声で、マークが言いました。
「とにかく、事実は事実じゃ。」
「サムティ、おれの顔をおもいっきりつねってくれ。夢かもしれないからな。」
「え・・・うん。」
「イタタ。」
「どう?」
「現実だね。」
「さて、四つ目の海“どうくつの海”とは、真っすぐに続く道をひたすら進めばこえられる。一つ問題があるとすれば、色々な障害物があるということじゃ。まぁ、三つ目の海と同様に、わしとサムティにはえいきょうはない。超音波を使えば、見えなくとも大丈夫じゃしな。マリーとマークは、尻尾にでもつかまればよい。」
一気にエドワンは、話をしました。
「もうすっかり目が覚めたので、今から行きませんか?」
サムティがそう言うと、
「さん成。」
と、エドワン、マーク、マリーは、声をそろえました。
「ところで、どうくつはどこにあるの?」
きょとんとした顔でマリーが、言いました。
「このがけのどこかにあるはずじゃ。さがしてみよう。」
四匹は思い思いの方向へ散りました。
しばらくして、
「あったよ。」
とサムティの声が聞こえました。みんながあつまり、大きなどうくつへ、入って行きました。
「いてえ。サムティ、もうちょっとていねいに泳げよ。」
「ごめん。気をつけるよ。」
「サムティ、前じゃ。」
「ゴチン。」
今度は、サムティが岩にぶつかってしまいました。
「イテテ。本当に障害物が多いよ。」
なみだを目にうかべながら、言いました。
「まだまだ超音波を、使いきれておらんな。ハハハ。」
「そういえば、エドワンは一回もぶつかってないよな。そんな大きい体をしているのに。」
「むだに年をとっていないということじゃ。ハハハ。」
「よそ見ばかりしていると、また打つわよ。」
マリーが、そう言ったしゅん間、
「ゴン。」
また、にぶい音が聞こえました。
「もう、いやだ・・・。」
マークのなげくような声が、どうくつにこだましていきました。

第九章 ラッコの貝割り石
無事に四つ目の海をこえた四匹は、五つ目の海へと向かっていました。エドワンの話によると、五つ目の海は、“宝の海”。その海をこえるには、次の海への大門を、開けなくてはなりません。その大門には、三つのくぼみがあって、そこに、赤、青、緑の石をはめなければ、門は開かない。そうエドワンは、教えてくれました。
「サンゴ礁が、いっぱいだ。」
と、サムティが言いました。マリーは、
「きれいな所。もしかして、宝の海?」
「その通り。このサンゴ礁に転がっている石の中に、三つの石がある。こりゃ大変だ。ハハハ。」
エドワンが、そう言うと、
「笑い事じゃないぜ。とんでもないくらい大変だよ。」
マークが、ため息をつきながら言いました。
「見て。あのサンゴ礁のかたまり。もしかして、あれが、大門?」
前を行くサムティが、言いました。
「そうじゃ。さて、今からわかれて石を探すのじゃ。かなりの・・・。」
「助けて〜だれか〜!」
四匹の近くから、急に声が聞こえました。
「あそこ。」
マリーが指した方向に、サンゴ礁の間に何かがいます。
「どうしたの?」
「どうした!」
サムティとマークが、泳ぎ始めました。
「はさまってしまって・・・助けて!」
「ちょっと待って。」
サムティとマークはその動いているものの尻尾をつかみ思いっきりひきました。
「スポーン。」
サンゴ礁の間からでてきたのは、ラッコでした。
「あ・りが・とう。助かった・よ。」
とラッコがモジモジしながら言いました。
「ぼくの・名前は・・・アイル。よ・ろしく。」
さらにモジモジしながら、言いました。
「ぼくの名前は、サムティ。あっちはマリーだよ。あそこにいるクジラがエドワンで、こっちのペンギンがマークって名前。ぼく達は、“夢の石”がある海を目指している。君は?」
「ぼくは・その・“夢の石”のある海に・住みたい・・と思って。けど、この海のこえ方が・わからなくて・・・。」
「一緒に行かない?」
「え? いや・ぼくがいても・・・じゃまなだけだと・・・。」
「そんなことない!」
サムティとマークは声をそろえていいました。
「本当に? なら・・・一緒に行きたいな。」
「やった。なら、さっそくだけど。」
サムティがそう言いかけたしゅん間、
「あのぼくの仲間も・・・いいかな? ぺティというアザラシで、目的はぼくと一緒だけど・・・。」
アイルが、相変わらずモジモジと言いました。
「もちろんだよ。今、どこにいる?」
「アイル〜!!」
また大きな声が、聞こえました。どうやらぺティのようです。
しばらくして、アイルとぺティは無事に仲間になり、三つの石さがしをすることになったのです。
「いやぁ、こんなところで、仲間に会えるとはね。ちょっとうれしいわ。」
ぺティが、まだ信じられないという感じでしゃべっています。
「さて、どうやって石を探すのかい。」
そうエドワンが言うと、
「あの、ぼく、貝を食べる時、いつも石を使うから、だいたいだけど、石の場所がわかる気がする。たぶん、赤色の石は、あそこの赤のサンゴ礁の近くにあると思う。青色の石は、その青のサンゴ礁のところに、緑色は、ここの緑のサンゴ礁にあると思う。」
アイルが、はずかしそうに言いました。
「君、たまには良いこと言うわよね。私は、アイルの意見に賛成だけど。」
「ワシもじゃ。」
ぺティとエドワンが、言いました。
「ぼくも。なら、マークとぺティは、この緑のサンゴ礁を。エドワンとマリーは、青のサンゴ礁で。ぼくとアイルは、赤のサンゴ礁を探そう。がんばって、夜まで見つけよう。」
サムティの声に、みんな、はりきって探し始めました。

第十章 目指すもの(1) 「エドワンの心配」
月が、海を照らしています。
「アイルはすごいな。三つの石が見つかったよ。」
うれしそうにマークが言うと、みんなワイワイとアイルをほめました。
そんな明るいふん囲気の中で
「少し良いかな。」
エドワンの真けんな声がひびきました。みんな、エドワンの方を見ました。
「こんなに仲間がふえてわしもうれしい。いきなりなのじゃが、次の海についてじゃ。最初に言おう。一番き険な海、それが六つ目の海“牙の海”じゃ。サメやシャチなどがいる。」
その言葉に、みんなとても静かになっていました。
「ここまで来たことは、ほこりに思ってよい。だが、“牙の海”は、命にかかわる。みんな若い。無理することはない。」
エドワンは、とても落ちついた声で言いました。
「どうする?」
その問いに、しばらくだれも答えませんでした。
すると、サムティが
「確かに、ぼく達は若いよ。でも、年れいは関係ないと思う。心があるなら、どんな時でも、なんとかなる! なんとかできると思う! ぼくは、“夢の石”をえるためにここまで来た。夢は、あきらめない。そして、ここにはこんなにすばらしい仲間がいる。みんな仲間じゃなかったら、絶対にここまでたどり着けなかったと思う。でも、逆にいうと、この仲間ならどんな試練にも、立ち向かえる。ぼくは、そう信じている。だからこそ、ぼくは進みます。無理にとは言わないけど、みんなで行こうよ!」
「当たり前だ。」
とマーク。
「行かないはずがないわ。」
とマリー。
「行・・・く!」
とアイル。
「今さら、引き返すなんてありえないわ。」
とぺティ。
そして、
「ハハハ。わしだってそうじゃ。どうやら心配無用じゃったな。ハハハ。」
「みんな、ありがとう。予定通り、明日は一日休んで、明後日の朝、出発だ。」
「お〜!」
大きな声が、海の奥深くまでひびきました。

第十一章 目指すもの(2)「覚ご」
「昨日は、楽しかったわね。」
マリーは、みんなに話しかけていました。
「うん。お互いいろんなことがわかったね。」
ぺティがそう答えると、
「ハハハ。その通りじゃ。さて、みんな覚ごはいいか?」
「はい!」
その言葉を聞いたエドワンは、三つの石を、大門にはめました。すると、
「ピカーッ。」
まぶしい光がサムティ達を包みこみ、門の中へと吸いこんでいきました。光がなくなり、そこにはいつも通りの海がありました。一つだけちがうのは、遠くにかがやいた海があるということです。
「あそこが、“夢の石”のある海だな。」
マークがそう言うと、
「かくれて!」
サムティがさけびました。みんな、近くの岩かげに入りました。
「今、声がしなかったか?」
小さなサメが、上を通っていました。

第十二章 き険な試練
「やっとここまできたわ。」
そっとマリーが、言いました。
「そうだね。本当にあとちょっとだ。」
サムティが、答えます。
目の前の輝いた海に、みんな、見とれていました。
「では、行くとしよう。」
落ちついたエドワンの声にしたがい、出発しました。残りもあとわずかという時、海底に多くのかげがよぎりました。
「やっと見つけたぞ。」
そこにいたのは、サメの群れでした。二十匹は、いるようです。
「逃げろ。」
「きゃ。」
サムティのさけび声と同時に、みんないっせいに逃げ始めました。マリーが、その動きに乗りおくれました。
「ぼくの尻尾につかまって!」
そうサムティがさけぶと、マリーは、しっかりと尻尾をつかみました。
どのくらい逃げたでしょう。輝いた海が、目の前にあらわれました。六匹の間に、安どの声が広がりました。
「助かった。本当に、死ぬかと思ったぜ。」
「もう、だめかと思ったわ。」
息を切らせながら、マークとマリーが言いました。
「どうやら、安心するのは早いみたいじゃ。」
エドワンの言葉に、みんなが周りを見ると、多くのサメに囲まれていました。
「待ちぶせかよ。」
マークが、動ようしながら言いました。
「よくここまで来たな。だが、これ以上進めない。われらの牙に負けるのだ。」
サメのかげからリーダーらしきシャチが出てきて、言いました。
「これ、ヤバイ・・・よ。」
動転した声でアイルが、言いました。
「落ち着いて。ぼくに案がある。あのシャチが近づいたら、みんなでとつげきしよう。リーダーがやられれば、一しゅんでもスキができるはずだ。輝いた海は目の前にある。大丈夫だ。」
サムティは、決意のこもった声で言いました。
「分かったぜ。」
「はい。」
「うん。」
「だいじょ・・・うぶ。」
「その通りじゃ。」
みんな答えた時、リーダーのシャチが前に出てきました。
「何をコソコソしている。逃げられはしない。みなの者、用意はいいかー。」
「今だ!!」
サムティの大きなかけ声と共に、みんなが飛び出しました。
「わあぁ!!」
マークが、さけんでいます。
「サメども、かかーれ!!」
シャチも、さけびます。
しかし、サメ達が動き出した時には、サムティをはじめみんなシャチにぶつかっていました。
「ウー!!」
シャチはそう言って体をくねらせ、大きな口でアイルを食べようとしました。
「やらせるか!」
「それ!!」
マークがするどい口ばしで、シャチをつつこうとした時、サムティの尻尾がシャチの体にすごいスピードであたり、シャチが、ふっ飛んでいきました。
「うわっ。」
シャチがさけびながら、その場から逃げて行きました。
「シャチが、逃げたわよ。」
マリーがすかさず、さけびます。
「うおぉ!」
今度は、エドワンが、しおを吹き上げます。その様子にサメ達は、ひるんでしまいました。
「こ・・・っち!」
みんな、アイルのよぶ方に力の限り泳ぎました。そして、“牙の海”を、こえたのでした。

第十三章 “夢の石”の正体
「やった!!」
みんなが声をそろえて、言いました。どうやらここは七つ目の海のようです。周りがまっ白で、上も下もわかりません。
「七つ目の海“歌の海”じゃ。」
耳をすますと、歌が聞こえてきます。
「分かっていることは、歌が“夢の石”の海について歌っていて、さらに行き方も歌っているということじゃ。」
「なら聞いてみようよ。」
サムティの言う通り、みんなで、歌を聞きました。
みんなの力を
合わせれば
勇気なり

みんなの力で
勇気を合わせると
友情になる

みんなの力で
友情を合わせれば
夢になる

夢があれば
どんなことも
できるはず

光の海へ行きたいならば
目をとじて
想うのさ

夢の石を求めて
光の海へ

とても明るい歌でした。
「むずかしい歌ね。」
マリーが首をひねりながら、言いました。
「そうか、わかったぞ!!」
サムティが大声をあげました。
「みんな、目をつぶって! 心の中で“夢の石”がある海に、行きたいって強く願って! 海の名前は歌にあるように“光の海”だ!」
みんな、心の底からそこへ行きたいと思いました。
どうやら、眠っていたようです。みんな、目を開けると、そこにはとても明るく、きれいな海がありました。
「着いた。着いた!!」
みんなが声を、そろえて言いました。そう、“光の海”、“夢の石”がある海に着いたのでした。
「やった!これは、求めていた海草だ!」
マークがさけびます。
「本当だわ。やったね。」
マリーが、うれしそうに言いました。
「なんて、すてきな場所なの。最高だわ。」
「う・・・ん。」
ペティとアイルも言いました。
「あそこにあるのは、“夢の石”じゃな。」
エドワンが見ている先に、にじ色に光輝く石がありました。
「サムティ。取っておいで。」
エドワンが言いました。けどサムティは動きません。
「ぼく、もう夢の石はいりません。」
「えっ!」
みんなが声をそろえて言いました。
「ぼくは、自分の力で群れをつくるよ。この“光の海”に来るまで、色々なことを経験した。自分でやることに意味があると思う。だから、ぼくは“夢の石”は、いらないよ。」
サムティがそう言うと、
「それでこそ、サムティだ!」
「がんばってね!」
「サムティらしいわよ!」
「きっとつく・・・れるよ!」
「ハハハ。」
とみんなが、応えんしてくれました。
それからしばらく、六匹は“光の海”で遊びました。楽しい時間でした。
そして、六匹は、それぞれの夢のために、大きな海へともどっていったのです。五年後にまた“光の海”で会う約束をして。

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