第五回島清ジュニア文芸賞「奨励賞」散文「有衣とルークの春夏秋冬」その4

ページ番号1002743  更新日 2022年2月15日

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美川小学校六年 山崎紘彰

第四章 秋 親について

文にかかなければならなかった。
秋と言えば・・食欲の秋、読害の秋、勉学の秋などいろいろあるが有衣の家はいままさに勉学の秋であった。
「ねえルークどうすればいいと思う?」
とルークに聞くのは有衣・・有衣は学校の宿題で親に言いたいこと、感謝したいことを作文に書かなければならなかった。
「自分の正直な気持ちを書けばいいんじゃないか。」
ルークはベッドの上でドックフードを食べながらそう言った。
「う〜んでもあんまり正直に書きすぎると成績が悪くなっちゃうかも・…それに親に伝えられたら大変なことになるよ。」
有衣は鉛筆を指で回しながら一言った。
その時ルークが良い方法を思いついた。
「それじゃあ悪いことはちょっと遠回しに書いたらどうだ。」
「遠回しってどういうふうに。」
有衣はちょっと心配そうにたずねた。
「たとえば『うちの親は自分の気持ちをぜんぜん分からない』と書くとしたら、『うちの親はあまり自分の気持ちをわからないみたい』と書けばいいんじゃないか。」
「う〜んちょっとアイディアはいまいちだけど・・・まぁほかに思いつかないからそれでいいか」
有衣はしょうがないというように言った。
「それじゃあ書き始めるね。まず題名から、親についての作ぶ・・・・・・・・・・・・。」
次の日 学校…
「それでは、昨日宿題に出した。親についての作文をみんな書いてきたか書いてきた人は机の上に出して、忘れた者は明日までだぞー。」
と羽称先生はいった。
「沙樹ちゃん書いてきた?」
と有衣が沙樹にたずねると沙樹は、
「うん、書いてきたよ、じゃあ有衣ちゃんは?」
有衣はいささか照れくさそうにしてから、
「まぁなんとか。」
と言った。実は有衣、夜の十一時まで作文を書いていたのであった。
「ねえ沙樹ちゃん。先生に提出する前にちょっとだけ見せあっこしない。」
有衣はこそこそっと沙樹に言った。
「うん。いいよ。」
沙樹はにこにこしながらそう言った。
「それじゃあ沙樹ちゃん読むよ・・・・」
「うん」
有衣の作文
わたしのお父さんとお母さんは、わたしからみるとちょっと厳しすぎる両親です。でも悪い親ではありません。たまにおこったり厳しいときもありますが、全部わたしのためにやっていることです。だからお父さんも、お母さんもわたしは大好きです。でも、たまに命令口調でものを言ったり、やつあたりみたいにものを言うのはやめてほしいです。最後に一
言……
「子供の気持ちもすこしはわかれ・・・・・・」
以上です。うちの親はこれを直すと良い親なんですが・・・
それにいつもやさしくしてくれるときは、やさしくしてくれてありがとう。
沙樹の作文
うちの親は仕事ずくめです・…せっかく夏休みに家族で旅行にいく時も、お父さんはノートパソコン、お母さんは書類を持っていって旅館に行っても仕事をしています。表向きは良い親なんですが、子供の目からみると仕事にとりつかれているように思えます。だから、せっかく旅行に行っても、わたしだけが時間をもてあまして、友達にも旅行先のガイドブツクをみて「こんなとこだよ」と言ったり、手紙に書かなければなりません。そんなのはもうやめてほしいです。だから仕事ばかりじゃなくて、たまには子供のこともかまって欲しいです。
「この作文。有衣ちゃんらしいね。」
と沙樹は笑みを顔に浮かべながら言った。
「沙樹ちゃん・・・・・・・・沙樹ちゃんってわたしよりずっとつらいおもいをしてきたんだね。わたしこれまでよく耐えてきたなぁ、って感動しちゃったよ。」
と有衣は、今にも泣きそうな感じで言った。
「有衣ちゃんでもわたしね、この作文を書いたとき、心が軽くなったよ。やっぱりこんなことを心のそこにかくしておくのはよくないね」
「そうだね」
と有衣が言ったと同時に
そのとき先生が
「もう時間だから作文を集めろー」
といった。
そのとき有衣は先生はあの作文は親に見せないだろうか…・と思ったがそんなはずないかと思い作文を先生に渡した。
その三日後 日曜の安藤家
「有衣今日は勉強しなくていいわよ。外で沙樹ちゃんとでも遊んでらっしゃい。」
とお母さんは有衣に優しく言った。
「お母さん、今日はちょっと優し過ぎない?」
と有衣は不審そうに尋ねたが、お母さんは
「そ・そんなことないわ。さぁさぁいってらっしゃい。早く行かないと気が変わるかもよ。」
と言った。有衣はまだなにか言いたそうだったが気が変わったら大変なので、
「行ってきまーす。」
と外に飛び出していった。
そして、プールで沙樹と落ち合って話をみると、沙樹の家も同じような待遇だったという。その待遇の理由は、有衣の家はキッチンに、沙樹の家は、仕事部屋にあった。そこには一通の手紙といっしょに作文が入っていたという。
そう、有衣と沙樹の親への作文が・・・・・

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