第二回島清ジュニア文芸賞「散文賞」(小学生の部)「天使の子守唄」その1

ページ番号1002754  更新日 2022年2月15日

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美川小学校6年 北川春実

みなさんは、トランペットの音を聞いた事がありますか?トランペットと言えば、元気で音が大きいイメージがあるのではないでしょうか?しかし、天使の吹くトランペットは、それとは全くちがう、優しくて、静かな音色なのです。
「わあ、きれい!ハイビスカスにアサガオも、ヒマワリも、それに、エンジェルトランペットも、みんなきれいに咲いてる!」

ここは、李花(りか)の家の庭。花が大好きな李花は、お母さんに、庭のすみっこで、好きな花を育てる事を今年の誕生日に許してもらったのです。
「お母さん、このお花、ぜーんぶ李花が咲かせたんだよ!特に、このエンジェルトランペットが、一番きれい!李花、エンジエルトランペットって、だあいすき!だって、かわいいんだもん!」

ピンクや紫や黄色の花をつけたエンジェルトランペットは、李花の横でさんぜんと咲きほこっています。
「ねぇお母さん、この花はどうしてエンジェルトランペットっていうの?」
「それはね、夜になると天使がこの花を吹くの。トランペットみたいな形だからエンジエルトランペットっていうのよ。」
「本当!?じゃあお母さん天使に会ったことがあるの!?」
「ううん、お母さんはないの。天使はね、子供にしか見えないの。」
「えっ!?そうなの!?じゃあ李花は見れるんだよね、李花5歳だもんねっ。5歳ってこどもだもんねっ。」
「そうね。夜になると見てみるといいわね。」
「うわあい、天使ちゃんって、どんな子かなあ。きっと、すごくかわいいと思うな。エンジェルトランペットとおんなじだもんねっ。」
—その夜・・・。

李花はなかなかねつけずにいました。
「昼間のお母さんの話、本当なのかなあ…。」
その時です。どこからか、音が聞こえてきました。
「・・・・・・!!」

その音は、庭から聞こえてきました。優しく、澄んだ音は、優しい子守唄を奏でていました。
「誰・・・?何・・・?」

李花は庭に出てみました。音は、李花のエンジエルトランペットの方から聞こえてきます。李花は、音のする方へ行ってみました。

そこには、妖精のような、子供がいました。ただ一つ、ふつうの子供とちがう所といえば、真っ白な羽根がはえていて、身長が60センチくらいしかないという事でしょうか。天使は雪のように白いはだをしていて、純白の布をまとい、頭の上には金色の輪がありました。

3人いるその天使は、李花を見るとトランペットを吹くのをやめ、かわるがわる言いました。
「こんばんは、李花ちゃん。よふかしして大丈夫なの?」
「えっ、どうして李花の名前知ってるの?」
「李花ちゃんとお母さんの会話を聞いていれば、きみが李花って名前だって事ぐらい、わかるよ」
「いつも大切にエンジェルトランベットの世話をしてくれてありがとう。ぼくの黄色いトランペットも、サフィのピンクのトランペットも、フィフィの紫のトランペットも、みんなきれいに咲いてくれたよ。」
「わあ、この子がサフィでこの子はフィフィっていうの。じゃあ、あなたは?」
「ぼく?ぼくはセフィ。ぼくたち、三つ子なんだ。」
「ふうん。ところで、どうしてトランペットなんか吹くの。」
「それはね、ぼくたちは、このトランペットを吹いて子供たちをねむらせる事が仕事なんだ。李花ちゃんも、聞いた事があるんじゃないかな。」
「李花も、聞いた事がある・・・?・・・あっ、ほんとだ、なんか聞いた事がある気がする。」
「だろう。李花ちゃんは、赤ちゃんの時からこの子守唄を聞いてねむってたんだよ。」
「ふうん。・・・ふあーあ、なんだか李花、ねむたくなってきちゃったあ。もうねようかな。」
「それがいい。おやすみなさい。」
「おやすみなさい。・・・あのね、李花、明日も来るからね。」
「うん。」

それから、李花は毎日夜になると庭へ行って、天使たちとおしゃべりしました。

ある日、李花がいつものように庭へ行くと、、天使の元気がありません。エンジェルトランペットも、しおれてしまっています。
「どうしたの、サフィ、フィフィ、セフィ!」
「李花ちゃん・・・」
「実は・・・」
「庭のすみに、グラジオラスがあるね。」
「うん。あるよ。でもそれがどうかしたの?」
「実は、あのグラジオラスの中には、悪魔が住んでいるんだ。」
「その悪魔が、ぼくたちの元気の源のエンジェルトランペットの葉の露を、一滴残らずとりつくしてしまったんだ。」
「えっ、そうだったの。」

李花はしばらく考えていましたが、こう言いました。
「その、エンジェルトランペットの葉の露って、どこにあるの。.」
「グラジオラスのとなりに、ヒマワリが植えてあるだろう。その根元だよ。」
「ようし、じゃあ李花が取り返してきてあげるっ。」
「でも、かんたんに取り返されないよう、みはりの悪魔がたくさんいるよ。」
「大丈夫、李花やっつけちゃうよ。」
「うーん、でもそれは無理だと思うな・・・。」
「えっ、どうして。」
「悪魔は死んでもすぐ生きかえる。パンチもキックも悪魔にはきかないんだ。」
「ええっ。・・・それじゃ、どうするの?」
「実は、悪魔にも弱点が一つあるんだ。」
「えっ、何?どうすればいいの。」
「悪魔は、雪が弱点なんだ。雪をかけると溶けてしまう。」
「雪・・・?で、でもねえ、今ここに雪はないよ。山に行けばあるかも知れないけど。でも山に行くなんて、李花にはとっても無理だぁ・・・。」

李花は、と方にくれて、辺りを見回しました。庭のしっとりした土の上には、雪はひとかけらだって残っていそうにありません。
「・・・そうだ。妖精の森の小人の長老さまなら雪を持っているかも知れない・・・。」
「妖精の森?!・・・でも李花、そんな森の名前聞いた事ないなぁ。その妖精の森へは、どうやって行くの。」
「妖精の森は、この世界とはちがう、おとぎの世界にあるんだ。1年に1回、この世界とおとぎの世界をつなぐ入口が開く日があるんだ。」
「それはいっなの?あとどのくらいなの?早くしないとみんな死んじゃうよう。」

李花は半泣きになってさけびました。
「大丈夫、そう簡単には死なないから・・・。」
「本当ね!?で、入口が開くのはいつなの。」
「わからない。でも昔から入口が開く日には夜になるとその入口が光ると言われているけど・・・、それがどこなのか、ぼくたちも知らないん・・・あっ?!」

李花はおどろいてサフィの指さす方をふりむきました。すると、庭の真ん中のいちぢくの木の根本にぽっかりと丸い穴があき、中から青白い光がふりそそぎました。
「・・・これだ。」
「やったあ。ここをくぐれば、妖精の森に行けるんだね。」
「そうだよ。」
「ようし、じゃあ行ってくるねっ、・・・っとまった。その、小人の長老さんってどこにいるの。」
「森で一番大きなりんごの木に住んでいるよ。」
「森で一番大きなりんごの木、ね。よし、じゃあ行ってくるね。」
「行ってらっしゃい。待ってるからね。」

李花は天使の言葉にうなずくと、次のしゅん間には消えていました。

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