第二回島清ジュニア文芸賞「散文賞」(中学生の部)「大好きだよ ひいばあちゃん」

ページ番号1002756  更新日 2022年2月15日

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美川中学校1年 東綾子

私には満98才になる大好きな曾祖母がいます。明治に生まれ大正、昭和、平成と4つの世代を生きぬき、小さいころから学校にも行けず、田んぼや畑の仕事をして家族を助けてきたそうです。いくつもの戦争を体験し、私にはとても想像できないくらい悲しい思いや苦しい思いをしてきた曾祖母は私にとってとても尊敬する人です。

曾祖母は、私に背の話をよくします。自分の両親のこと、兄弟のこと、そして我が子や夫を亡くしたこと。私にはよくわからない話ですが、聞いてあげると、とても喜びます。

ついこの間まで、私達はよく百人一首をして遊びました。曾祖母は百人一首が上手でいつも私たちよりたくさんふだをとっていたものです。また、百人一首の意味をわかりやすく教えてくれました。元気で優しくて笑顔のかわいい曾祖母。ごはんを用意してあげたり歩く時に手を貸してあげたりすると私の手をギュッとにぎって
「あんやと、あんやと。」
と、いつも感謝してくれました。いつもみんなに感謝している曾祖母は、生きていることに深く感謝しているように私には思えました。私は、その「あんやと」という言葉が大好きでした。曾祖母の言う「あんやと」は魔法の言葉のように私の心を温かくしてくれます。

そんな大好きな「あんやと」が今年の夏、聞かれなくなりました。体は元気な曾祖母ですが、老いには勝てなくなりました。今年の夏はとても暑く、年をとった曾祖母には特に大変だったのでしょう。理由のわからないことを言ったり、自分の名前や誕生日もわからなくなりました。笑顔が消え、いろいろな世話をしてあげても「あんやと」の言葉は聞けなくなりました。無表情な顔を見ていると哀れで、やせ細った手をにぎりしめると、悲しみがこみあげてきます。

私にはもう一人尊敬している人がいます。そんな曾祖母の世話を一生懸命にする祖母です。今年で70才になった祖母は体が丈夫ではないので背中や腰など、痛い所をかかえています。それでも優しい祖母は曾祖母の食事や着がえ、トイレの世話をしたり髪の毛までもとかしてあげます。そんな優しい祖母の姿に私は頭が下がる思いです。曾祖母が元気で長生きしていられるのは祖母のおかげではないでしょうか。

今年の夏、曾祖母は一週間ほど入院をしました。その時、ベットからまったく動かなかったので、腰が立たなくなり、常に支えてあげなければ歩けなくなりました。祖母の力だけではどうしようもなくなりました。今では祖父と祖母の二人がかりで曾祖母の世話を昼も夜も関係なくしています。祖父はいつも祖母に感謝し、いたわりの心を持っています。そんな祖父のいたわりがあるからこそ祖母は自分の人生を犠牲にしても頑張れるのだと思います。

それなのに理由のわからなくなった曾祖母は、
「こんなにしんどいのに、誰も何もいいのにしてくれん。」
と、だだをこねます。祖母のことを悪く言うので、祖母のことを思うと、私はとても悲しくなります。理由のわからなくなった曾祖母のことを思うとまた悲しい気持になります。私には、どうしてあげることも出来ないのでそれがまた悲しいです。

夏休みの間、私は出来るだけ祖母の家に行き、祖母の力になれるように、曾祖母の手をにぎつてあげました。びっくりするような力で曾祖母も私の手をにぎってくれます。心もおちつくようです。

私は曾祖母に感謝の気持ちを持ち続けてほしいと願っています。
「誰にでも『あんやと』と言うんやゾ。感謝するんやゾ。」
と、教えてくれたのは曾祖母でした。その曾祖母が
「あんやと」
を、忘れてしまうなんて−。私は曾祖母の
「あんやと」
を、もう一度聞きたいです。命のある限り、いつまでも感謝の心を忘れないでほしいです。後わずかであろう日々を健やかに過ごしてほしいと、願わずにいられません。
「今でも大好きだよ。ひいばあちやん。
いろいろ教えてくれてありがとう。
私も感謝を忘れずに、一生懸命生きるよ。」

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