第四回島清ジュニア文芸賞「散文賞」(中学生の部)「国際人 小泉 八雲」

ページ番号1002746  更新日 2022年2月15日

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美川中学校3年 國美里

夏といえば怪談である、と私は考え、今年の夏休みに小泉八雲の怪談・奇談ばかり42編も集めた、「怪談・奇談」を読んだのであった。

今までの怪談のイメージは、夏場にテレビでよく流れる「これは本当にあった話で。」という出だしから始まるものであったが、小泉八雲がまとめた話を読んでいると、そういうイメージが、どんどん変わってくる。

まず、どの話も人問同士の関わりが深いことだ。見ず知らずの赤の他人の幽霊に会うという怪談は、ほとんど載っていない。ドラマを見ているかのように、話が、どんどんと進んでいった。怖さだけでない、魅力があった。私が、特に人と人の間の関わりが深いと思ったのは「約束」という話に出てくる義兄弟だ。弟は兄の約束を信じ、兄は弟との約束を守るために、あの世の者となって会いに来る、そういった誠実さを、私も、この作品を読むことによって知ることができたのではないかと思う。それから「武士」という存在についてよく考えることもできるようになった。約束を守るために自ら命を断った兄の赤穴、弟の友情・勇気に対し感動できる経久。今までのぼんやりとした武士という存在が、私の中ではっきりとしてくるような気がした。

私は、小泉八雲が日本に帰化した外国の人だということを知らずに読んでいた。そのため、あとがきを読んで知った時には大分驚いた。彼が日本に来た明治23年。今から100年以上も前の人物であったのだ。つい最近まで鎖国をしていた国という不安は来る時にはなかったのだろうか、などとつい考える。

熱意を持って、日本に伝わる不思議な話をひいては、日本独自の文化をも海外へ発信していった小泉八雲。読む側が誤解しないようにと、細心の注意を払いながら、単語を選んでいたに違いない。

思えば私は自分の国の文化について、全く知ろうとしなかった。八雲は、1890年から14年間の間、日本の文学を怪談を通して学び、また考え方や風習についても詳しく知り理解していったのだろう。白分と比較してあらためて、その偉業がひしひしと伝わってくる。

「国際社会」という中で重要なことは、他国や他民族の文化を、理解しようとすることであると私は思う。そして、自国の文化を大事にして、互いの文化について語り合うことが、できていったなら、私自身が他の文化に持っていたのとは異なる事実を知ることが、できるのではないかと思う。小泉八雲と、その回りの人々は、そうしたことが、きっとできていたはずだ。でなければ、あのように、たくさんの怪談や奇談を集めたり、日本の文化について深い理解を示せたりはしないはずだ。

百年も前の国際人である、小泉八雲の作品に触れることによって、自分の中では、国際理解の大切さが、わかってきた気がする。互いの違う点を減らすのではなく、活用していくことが、できるようになりたいと思うようになれた。

本も読むという行為により、様々な考え方や意見に触れることができ、自分の考え方も少しずつ変わってきたように思う。特に私は小泉八雲の作品から、たくさんのものを自分の中に取り込み、発達させていきたいと感じた。何度も読み返す度に、新しく何かを発見して、自分の考え、感想を深いものにしていきたい。

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