暁烏敏賞 昭和61年第1部門梗概「二十一世紀への霊性の展望」

ページ番号1002668  更新日 2022年2月15日

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写真:暁烏敏像

第2回暁烏敏賞入選論文梗概

第1部門:【哲学・思想に関する論文】

  • 論文題名 「21世紀への霊性の展望」
  • 氏名 Mr.クリス・アーサー
  • 年齢 31歳
  • 住所 英国
  • 職業 大学研究員

論文概要

霊性は、人類の揺藍期から現代に至るまで、全歴史を通じ、偉大な力を発揮してきた。事実、多くの人々は、霊性が、ホモ=サピエンスに固有な特性であると信じている。このことは、人々が、美術・文学・音楽・彫刻などで、超越的なものの領域こそ最重要との信念を吐露しつつ、この実在の領域を様々な方法で見い出そうと努めてきたことからも明らかである。

霊性は、超越的なもののうちに、生についての、ある究極的な価値と指令とを感じ、見い出そうとする。究極的な価値への熱い想いが、我々の霊性をなお揺ぶるとはいえ、しかし、今日、霊性は、様々な現代の仕組みのため、手も足も出ない状態に圧し込められてしまっている。

人知の破綻(二十一世紀の人類はその真只中に居るのだが)を煽り立てることになった知識の細分化・末梢化は、霊性ある存在としての我々に最も関係あり、核心ともなる実在の論議から、我々の注意を外らせて、専ら世俗のことのみに関わる甚だ周辺的問題へと向かわせ、同じく、都市化も、無限に広がる空間と時間の中で、奇しくも、束の間のはかなき我が身を覚えさせる自然本来の姿から、我々を遠ざけてしまう。

来るべき世紀に向けての霊性の展望は、いずれも、人間存在−他の人々と交わり、かつ世界とも親しく関わり合うことなのだが−の基底をなす<自他一致の状態>への道、この霊的に実り豊かな一元への道を打ち立てるものでなければならない。

ブッダの毒矢の喩す話が、また、(現代とその苦悩、満たされぬ霊性というユングの語法を借りれば)”霊性をたずね求める現代人”の苦境を、多少とも描き出すものとして、引き合いに出すならば、筆者として、その教えに共鳴するところ、甚だ大なるものがある。終わりに、ニューヨーク国連ビルに設けられている瞑想の部屋には、我々の進むべき霊性の方向を思念する上で、この上なく素晴らしい象徴石が備えられていることに言及して筆を措きたい。

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