暁烏敏賞 平成11年第2部門梗概「現代子ども事情 新たな援助の視点を探る」

ページ番号1002590  更新日 2022年2月15日

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写真:暁烏敏像

第15回暁烏敏賞入選論文梗概

第2部門:【青少年の健全育成に関する論文または実践記録・提言】

  • 論文題名 「現代子ども事情 新たな援助の視点を探る」
  • 氏名 中川 美保子
  • 年齢 42歳
  • 住所 石川県金沢市在住
  • 職業 高等学校教諭

論文概要

いじめ・不登校をはじめ対教師、生徒間暴力など現代の子ども達が抱える不適応行動の解決が求められて久しい。加えて最近では、学級崩壊・授業崩壊と呼ばれる新たな課題も増加している。これらの諸現象に対応するため、今、大人達に求められている子ども理解の視点はどこにあるのだろうか。本稿では、学校・家庭を中心とした現代社会の特質を取り出し、そこから現代子ども達の「生きづらさ」を考えてみた。その理解を踏まえ、現代の大人達に求められる子どもへの援助の視点を事例を通して提案した。以下、概略を記してみたい。

まず、現代の子ども達は昔に較べて「甘えているのか、我慢が足りないのか」について、実際に中学生が著者に語ったことを手がかりに考えてみた。毎日の家庭生活、学校生活を辿ってみると、巷間で語られるほど子ども達の生活は楽しいことばかりでははない。むしろ厳しい現実の中、想像以上にがんばっている姿が伺える。やはり彼らも「我慢」、「つらさ」を経験しているのである。しかしその「つらさ」を踏み込んで考えてみると以前の子ども達が経験した「つらさ」較べ、他者と共有されず、加えて他者から見えにくいものに変わったように感じられる。したがって、現代の子ども達は自分たちの苦しさをなかなか大人達に理解されないまま「生きづらさ」を抱えている。

そこで、現在の子ども社会やそこに生きる彼らのつらさを理解し、事例を手がかりに彼らの求める援助の視点を以下のように提出した。

まずカウンセリングの場で取り上げられる「転移」現象を日常でも想定し「過去にとらわれる心の不自由さを自覚し、目の前の子どもをしっかりと見つめること」を述べた。次に「保護を必要とする弱い存在」とする子ども観を「自立を目指す小さな大人としての存在」と転換し、「子どもとの適切な心理的距離を保つこと」の意味を考察した。最後に問題としている現象の原因探しにとらわれず「魅力を見つけ創造し、それを子どもに投げかけること」の必要性を提案した。

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