暁烏敏賞 平成13年第1部門梗概「河上肇とこの時代」

ページ番号1002578  更新日 2022年2月15日

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写真:暁烏敏像

第17回暁烏敏賞入選論文梗概

第1部門:【哲学・思想に関する論文】

  • 論文題名 「河上肇とこの時代」
  • 氏名 鈴木 一典
  • 年齢 43歳
  • 住所 東京都八王子市在住
  • 職業 社会福祉法人職員

論文概要

「道を求める」という言葉はもはや死語に近い現在にあってさえ、求道者河上肇(1879〜1946)の思想と行動は、時を超え私たちの心の奥底に直接訴えかけるものがあると思う。

河上は一般的には日本における『資本論』の研究者、普及者として知られるが、彼の真骨頂はそこにはない。若き日の河上は松蔭に心酔し、キリスト教に共感し、無我苑に真理を求め、マルクス主義の実践活動に身を投ずるというように、思想的遍歴を繰り返した。しかし表層の思想は変わるものの、彼の原思想は一貫して人道主義であり、絶対的非利己主義であった。また自分の理念を直接的に社会に実現しようとする直情径行な実践力はまぎれもなく陽明学の反映であり、河上の生き方を魅力あるものにしている。

経済思想に関しても物質的な貧困の根絶という課題について、河上が人心の改造という精神貧困の問題と因果閑係があると理解している点は重要である.「社会組織の改造よりも人心の改造がいっそう根本的の仕事」という視点は、経済学の方法論を根底から見直すためのもう一つの経済学批判の在り方を示唆しているといえないだろうか。

国家介入の増大と公共部門の拡大を特徴とする「組織された資本主義」も、私的所有の廃絶と計画管理を柱とする社会主義も、いずれも人間を外的にコントロールしようとする点では同じである。現在社会の混迷は、こういった底の浅い合理主義が壁に突き当たっていると考えられよう。

河上は経済の問題とは、何より人間の問題であり、精神生活の深みから経済思想を再照射する必要があると教えている。ここを学ばなければならないというのが、筆者の河上論である。

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