暁烏敏賞 平成19年第2部門梗概「「いじめ」を越えた子どもたちとの歩み 教室の人間化から生まれる成長の姿」

ページ番号1002551  更新日 2022年2月15日

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第23回暁烏敏賞入選論文

第2部門:【青少年の健全育成に関する論文または実践記録・提言】

写真:覚華鏡

  • 論文題名 「いじめ」を越えた子どもたちとの歩み 教室の人間化から生まれる成長の姿
  • 氏名 寺岸 和光
  • 住所 白山市在住
  • 職業 金沢大学教育学部附属小学校教諭

論文概要

「いじめ」問題は、「いじめ」自体に対処しようとする姿勢だけでは解決できない。目の前の「いじめ」を抑えつつ、並行して「いじめ」を否定できる関係や力を学級に育んでいかなければならない。この実践記録は、子どもたちが互いの心を重ね、人間らしくかかわっていく過程が、結果的に「いじめ」を越える関係を育むという事実を示している。

前年度までに「いじめ」や人間関係のもつれを抱えていたこの六年生たちは、多くが日常の居場所の確保と同調の作法に汲々とし、目先の些細な関係のためにエネルギーを使ってきていた。この子どもたちに必要なのは、これまでと違うエネルギーの使い方、新しい生き方だと私は感じ、次のような学級づくりをめざした。

子ども個々が未来を見つめて願いをもち、それを実現していける力と関係を育む過程で 自分や仲間の可能性を実感していける場

「個体的」で「同質」な土壌で「いじめ」は起こっているというのが私の仮説である。「人は誰もが異質な無二の存在」であるという気づきが固有な人間的成長をうながし、他者と出会い直す意識が「いじめ」問題と向き合える姿勢を育てると考えていた。

私はこの六年生たちを高圧的に抑えてコントロールするのではなく、個々の成長をアシストするために協同する存在になりたいと考え、「個の力の育成」「協同的な学び」「行事創造」の三つを学級づくりの柱として定めた。

これらを実現しようとする試行錯誤の積み重ねによって、新しい生き方をめぐるこの学級の歩みは展開した。やがて、子どもたちは人間関係の些細なこだわりを圧倒して余りある一人一人の存在の大きさや自己成長の実感を経験していく。そして半年後、子どもたちは「いじめ」と向き合うことができた。

人間が他者によって自らの存在を証明され、生きる力を育んでいくものであるなら、人生の基盤となる義務教育の時期に最も重要なのは、他者と向き合う場、つまり、仲間と対話しながら手探りで自分自身を感じ取っていく経験なのではないだろうか。

子どもたちと創り上げた学級は、次のようにまとめることができる。

人間らしいかかわりと感情で生きられる教室(人間化された教室)

この学級の歩みは「いじめ」問題だけでなく、今の個体化した子どもたちがつながり合って充実する学校再生の切り口をも示していると私は考えている。

過去の作品

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