北陽小(感性のびのび 心があたたまる話集)

ページ番号1002156  更新日 2022年2月8日

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第一話 けいちゃんの秋みつけ

けいちゃんは、あさがお学級の一年生です。きょうは、せいかつかの時間に近くの公園まで、秋みつけに出かけました。
けいちゃんは外が大すきなので、学校を出ると、まっすぐはしりだしました。担任のあきこ先生が、
「けいちゃん。走っちゃあぶないでしょう。道路に出るときは、車に気をつけて右がわを歩くのよ。ゆっくり歩いて秋みつけしようね。どんなものが見つけられるかな。」
と、けいちゃんをよびとめました。けいちゃんはあきこ先生が大好きなので「ハーイ」と言ってとまりました。あたたかいとても気持ちのよい日でした。
「葉っぱが赤いね。けいちゃん」とあきこ先生が、けいちゃんに落ち葉をひろって見せました。するとけいちゃんは、「こっちにもあるよ。」と落ち葉を一まい一まいとひろっていました。その様子を見ていたおじいちゃんが、けいちゃんに話しかけました。
「ぼうや、何しているの?」
あきこ先生が、
「秋みつけをしていて、落ち葉をひろっているんです。」
と答えました。けいちゃんは葉っぱをもう五まいもひろっています。
「ぼうや、それじゃ秋みつけに、おじいちゃんちのかきをあげよう。」
と、おじいちゃんは、かきの木からかきを二ことって、けいちゃんに手わたしてくれました。けいちゃんははずかしそうに、
「ありがとう。」と小さな声でいって、ぺこんと頭をさげました。あきこ先生は、けいちゃんがとてもよろこんでいるのがわかりました。おじいちゃんに「ありがとう」をもう一回いってわかれました。
「けいちゃん。よかったねぇ。おいしそうな秋みつけができたね。」
「かき、あまいかな。」
「きっと、あまいとおもうよ。」
「ぼく、校長先生にあげたいな。」
かえりの道々、あきこ先生とけいちゃんはたのしくお話をしました。
学校にかえると、あきこ先生は、さっそくかきをむいてくれました。けいちゃんはおさらにかきを二きれのせて
「校長先生、たべてください。」
と校長室までもっていきました。校長先生は
「けいちゃん、けいちゃんのかきおいしいかったよ。すてきな秋みつけ、ありがとうね。」とけいちゃんの頭をなでました。けいちゃんはまたはずかしそうな顔をして、あきこ先生とおさらをさげました。しょくいん室にはあたたかい日ざしがいっぱいさしていました。

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第二話 発見

今日の昼休みは、高学年が体育館を使える日だ。高学年の番だ。六年二組の勝と毅はいつもドッジボールをしている。勝と毅は市のドッジボールクラブにも所属していてボールの威力は学校でも群を抜いている。特に勝は負けず嫌いでスポーツに関して負けを認めない性格の持ち主だ。
「バシッ。」
「ドーン。」
体育館の壁に当たる音はとても大きく、ボールの跳ね返りも大きい。けれども高学年になると、ボールの威力を競い合ってどの子たちも力を抜かない。
体育館では、五、六年生が使用するため、コートは狭くして三か所でドッジをしている。そこへ保健委員の咲子たちが、体育館便所の石けんをチェックするために入ってきた。
「バシッ。」
「ドーン。」
ボールの攻防する音は切れ間がない。咲子たちは怖くて体育館を横切ることができない。
「どうしよう。でも言えないし・・・・怖いし・・。」
保健委員の子たちは顔を見合せながら、少し歩き出してはもどり、何か言いたそうである。しばらくしてその様子に目を止めた勝が、
「ストップ!ボールやめッ。」
と手をあげてコートの真ん中に出てきた。次々と別のコートにも走っていきボールを止めた。「やめッ、やめッ」咲子たちはビックリした。いつもはドッジのコートを取るためにバスケットをしたい私たちに、絶対に場所を譲ってくれない勝が、私たちのためにボールを止めてくれている。
ボールの動きは止まり、体育館便所までの道があいた。咲子たちは、
「ありがとう。」
と言って歩いた。不思議な気持ちになった。勝たちにもいいとこあるんだなぁと思うとうれしくなってきた。「でも、どうして私たちが困ってるって気がついたんかね。」と話しながら、石けんを取り替えた。勝は本当はやさしいのかなと咲子は勝の見方が変わっていくのがわかった。

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