白嶺小(感性のびのび 心があたたまる話集)
第一話 こぼれた絵の具の水
運動会が終わって、さあ『芸術の秋』。今度は校内絵画展に向けて、図工の時間には絵を描く日々です。みんな時間いっぱい、一生懸命がんばっています。チャイムがなりました。さあ、後始末。あれれ?見ると教室から手洗い場まで、廊下には絵の具の水が点々とこぼれています。
それを見つけた南先生が、「だれか、ぞうきんでふいてくれんか?」と言いました。もう休み時間です。みんな、早くプレイルームに行って遊びたくってうずうずしています。
でも、一番早くに後始末が終わった由美子さんは、黙って教室にかけてあったぞうきんを持つと拭き始めました。それを見た信夫さんも、ぞうきんを持ってきて拭いています。ぽつん、ぽつんと一人、二人、三人と増えていきました。そして、すっかり廊下はきれいになりました。絵の具の後始末が最後になった進一さんは、小さな声で「ありがとう。」と言いました。次の週の図工の時間には、やっぱり絵の具の水がこぼれましたが、今度は先生が何も言わなくても、四〜五人で黙って拭いています。
その次の週には、水をこぼす人はだれもいませんでした。みんな、こぼさないように気をつけて後始末をしていました。南先生は、黙って、黒板のすみに花丸を書きました。
※名前は、仮名です。
第二話 さわやかなゴール
今日はまちにまった運動会。六年生の孝さんは、縦割り班のリレーがとても楽しみです。毎日、休み時間になるとリレーの練習をしてきました。去年は負けたけど、今年こそ勝つぞ。チームリーダーとして、走る順番を考えたり、少しの時間にもみんなに声をかけて練習に励んだりしてきました。その甲斐あって、チーム全体がまとまり、日に日にバトンの受け渡しが上手になりました。
さて今日は運動会。気持ちよく晴れています。プログラムが順に進んでさていよいよ最後の競技、縦割り班対抗のリレーです。
用意、パン!四つのチームが一斉にスタートしました。一人目、二人目、順にバトンがわたっていきます。やったあ!孝さんのチームが先頭です。さて第七走者にバトンがわたりました。第七走者は、二年生の幸子さんです。あっ、転んでしまいました。バトンを拾って一生懸命に走りますが、ぐんぐん引き離されて、最終走者の孝さんにバトンがわたったときには、他のチームと一周近くも差がついていました。それでも、孝さんはぐんぐん差を縮めています。でもやはり追いつかず、あとの三チームは順にゴールインしました。
孝さんのチームメイトは四位に決まってがっかり。でも、あれっ、周囲の声援は高まっています。ただ一人、トラックを一生懸命に走る孝さんの姿に声援が高まって、大きな拍手がわき起こりました。ゴールした孝さんのはあはあという息づかいを聞きながら、チームメイトの顔もさわやかになりました。
※名前は、仮名です。
より良いホームページにするために、ページのご感想をお聞かせください。
このページに関するお問い合わせ
教育委員会事務局学校指導課
〒924-8688 白山市倉光二丁目1番地
電話:076-274-9578 ファクス:076-274-1665
教育委員会事務局学校指導課へのお問い合わせは専用フォームをご利用ください。