豊入道村村御印
白山市指定有形文化財 古文書
豊入道村村御印(ぶにゅうどうむらむらごいん)
〔所在地〕白山市西新町168番地1 白山市立博物館
〔所有者〕部入道町町内会
〔員数〕1通
〔材質・形状〕檀紙、続紙、包封
〔寸法〕縦37.7cm、横73.9cm
〔年代〕寛文10年(1670)
〔指定日〕昭和58年3月11日
村御印は加賀藩が村々に下付した租税徴収令状のことで、その村の草高(田畑や宅地の面積を米の生産可能量で表したもの)と、免(税率)及び雑税額などが書かれた文書です。第3代藩主前田利常の黒印「満」が捺印されていることから村御印と呼ばれました。加賀藩では作柄の豊凶に関わらず、年貢は毎年一定の税率を村ごとに割り当てる「定免法」を採用し、村御印を下付することで税の納入を徹底させました。村御印は慶安3年(1648)から4度回収下付され、現在市内には4度目にあたる寛文10年(1670)のものが多く残されています。
住民にとって村御印は単なる年貢割付状ではなく藩主の象徴であり、御印箱に収め皮袋に包んで村肝煎(庄屋)の家の大黒柱に安置するなど、その取扱いは丁重を極めました。また、村の寄り合いは村御印の前で行われ、一度決定された事項に異議を挟むことができないという言い伝えも残るなど、明治に至るまでの200年間その権威は失われることはありませんでした。
藩政時代の集落規模や税率など農政・税制・産業を知る上で貴重な史料であり、また民俗学的にも大切な資料であるといえます。
この村御印の「豊入道村」は、現在の白山市部入道町にあたります。平野部に位置する集落ですが、小物成(雑税)に山役や蝋役が記載されていることから、飛地として山を持っていたことがわかります。翻刻文は以下の通りです。
加州石川郡豊入道村物成之事
壱ヶ村草高 内拾五石明暦弐年百姓方より上ルニ付無検地極ル
一、七百拾弐石
免六ツ内四歩弐厘明暦弐年より上ル
右免付之通、新京升を以可納所、夫銀定納百石ニ付百四拾目充、口米石ニ壱斗壱升弐合充可出也
同村小物成之事
一、百九拾四匁 山役
一、弐匁 蝋役
本米拾四石五斗
一、弐石九斗 敷借利足
明暦弐年・同三年ニ令免除
右小物成之分者、十村見図之上ニ而、指引於有之者、其通可出者也
寛文十年(割印)九月七日(「満」黒印)
豊入道村百姓中
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