紙本墨書 千代尼肖像画賛 磯田湖龍斎筆千代尼賛
白山市指定有形文化財(書跡)
紙本墨書 千代尼肖像画賛 磯田湖龍斎筆千代尼賛
(しほんぼくしょ ちよにしょうぞうがさん いそだこりゅうさいひつ ちよにさん)
〔所在地〕白山市殿町57-1
〔指定日〕平成27年4月22日
この作品は、浮世絵師の磯田(いそだ)湖龍斎(こりゅうさい)によって描かれた肖像画に、千代尼自身が句を添えたものです。
「真如実相」の頭書(かしらがき)に続き、「清水にはうらもおもてもなかりけり」の発句(ほっく)が記されており、季語は「清水」で夏の句。
この句は、明和元年(1764)に上梓された『千代尼句集』(千代尼62歳)で既に掲載されており、句意も仏教用語に由来した頭書の意味するところに準じていると考えられます。
作品には71歳との自署があるところから、死去する2年前の安永2年(1773)の夏に制作されたものです。
千代尼の晩年がたえず病気がちであったことは、翌3年3月、女流俳人合同句集『俳諧(はいかい)玉藻集(たまもしゅう)』に自身が寄せた序文「みとせのやもう(病)の枕をあげ」にも明らかであり、病をおして肖像画のモデルになったと推測されます。
団扇を脇に配し、文台を前に、敷き物の上に片膝立で坐し、筆を右手に持ちながら穏やかな笑みを浮かべる僧体の千代尼が描かれていますが、その写実的な表現から、湖龍斎が海外から流入した技法を取り入れて描いたものと推定されます。
なお、同年冬に千代尼自身が描いた「紙本墨書千代尼肖像自画賛」が同じく白山市指定文化財となっていますが、姿勢構図が本作品と共通しており、この作品が手本となった可能性が高いです。
晩年の千代尼の容貌・体格をこれほど正確に知ることができ、制作の経緯は不明であるものの、死期を間近に感じていた千代尼の心境がうかがえるなど、有形文化財として非常に価値が高く、その保存を図ることが必要です。
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