平成19年度入選作文(ジュニア部門2)「朝の握手」
第23回暁烏敏賞ジュニア部門入選作文(小学生部門)
- 作文題名 朝の握手
- 氏名 長谷川 綾乃
- 住所 愛知県豊田市在住
- 学年 豊田市立市木小学校 5年
私の家では、毎朝きまってする事があります。それは、朝、学校へ行く時、玄関で握手をする事です。朝ねぼうをしちゃった時は、心ぞうが、
「ドキンドキン。」
としていて、
「もう、早くいかなきゃいけないのに。」
と思う時もあるけれど、お母さんが、
「ギュッ。」
と握手してくれると、なんだか、ほっとするからふしぎ。なんだか元気がわいてきます。お母さんも、
「朝みんなに『いってらっしゃい。』って言いながら、握手すると、みんなの手からパワーをもらって、一日元気に過ごせるよ。」
と、にっこり笑います。
晴れの日もたくさんの雨が降る日も、そして、ちょっぴり雪がちらつく日も、必ず毎朝、握手をしていたのに、とうとうしばらく、朝の握手はおあずけです。なぜなら、お母さんが病気で入院してしまうから。
「一週間ぐらいで退院できる予定だからね。必ず元気で帰ってくる。だから、おばあちゃんの言う事をよく聞いて、良い子にしていてね。お母さんの事は、心配しなくていいからね。」
お母さんの代わりに、おばあちゃんとしばらく暮らす事になった私に、お母さんは何度も何度も、そうくりかえし言ってきます。なんだかお母さんは、自分の事よりも私の事を心配しているみたい。でも、心配顔で私を見てくるお母さんを見ていたら、こっちまで心配になってきちゃった。だって、病気なのは私じゃなくてお母さんで、心配されるのは、お母さんの方だと思うから。
そこで、私は決めたんです。お母さんに少しでも安心してもらいたくて、入院する日の朝、力いっぱいの握手で、お母さんに私の元気パワーを分けてあげようと。
「じゃあ行ってきます。」
大きな荷物をかかえたお母さんが、玄関に立っています。私には、おばあちゃんも妹もいるから、ぜんぜんさみしくなんかないはずなのに、次から次へと、かってに出てくる涙を止めていたせいかな。なぜか胸がどんどんくるしくなってしまいました。
でも、せいいっぱいの大きな声で、
「良い子にしているから心配しないでね。」
と、言いながら、力いっぱいお母さんの手を握ったら、いつもの握手より、もっともっと安心した。
元気パワーを分けてあげるつもりだったのに、またいつもみたいに、お母さんからパワーをもらってしまった私。
「握手をしただけで、人を安心させられるお母さんのパワーって、すごい!」
と私は心のそこから思いました。
朝の「いってらっしゃい」や、夕方の、「おかえり。」お母さんがいつもかけてくれるこの言葉も、聞く人を安心させるパワーのある言葉だと、私は思います。だって、「おかえり。」と言われると、なんだかすごく、ほっとするから。それに、だれかが家で待っていてくれると思うと、早く家に帰りたくなります。
私も大きくなったら、
「おかえり」
って、言ってあげられるお母さんになりたいと思います。
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