VOL2-はくさん男女共同参画応援プロジェクト
子どもたちの成長が一番の喜び
源勝彦さん、桶谷良輔さん(わかみや保育所)
まだまだ女性のイメージがある保育士ですが、男性の数は徐々に増えてきています。子育ての最前線に携わる男性保育士お二人に話を聞きました。
保育士を目指すようになったきっかけはなんですか?
源勝彦さん(以下、源さん)
もともと小学校の先生になりたいなという思いがあったんですが、ちょうどその頃に姉が出産をして実家に帰ってきまして、おむつ交換など子どもの世話を手伝う機会がありました。その時に、どんどん成長してく子どもの様子を目の当たりにして、すごいなと感じました。
高校生になって、就職を具体的に考えるようになった時に男性でも保育士を目指せることを知り、子どもたちの成長に携わりたいと思い始めました。家族にも相談したら、「向いているんじゃない」と後押ししてくれ、それでこの道に進もうと決めました。
桶谷良輔さん(以下、桶谷さん)
僕も、高校生の時に職場体験で自分が通っていた保育園に行く機会がありまして。本当に楽しかった思い出があります。子どもたちはみんなとても素直で、「わあっ!」て寄ってきてくれましたし、子どもたちから元気もいっぱいもらいました。すごく楽しい三日間を過ごしたことを覚えています。
その後、自分の進路を考えるようになった時に、保育園での楽しかった思い出がよみがえり、保育士という仕事を考えるようになりました。ちょうど同じ頃に、仲のいい男友達が「保育士になろうかなって思っている」と話してくれて、お互いに「保育士っていいよね」と盛り上がったこともあって、自分の中で「目指してみよう」という気持ちが固まりました。
実際に保育士になって、どうでしたか?
源さん
私が保育士になった時は、私のほかに金沢市にいらっしゃる方と二人が石川県内の公立保育所で初めての保育士という状況でした。それが2、3年すると、県内の男性保育士の会みたいなものができて、それでも人数は県内全部で30人程度だったかと思います。当時は、メディアの取材を受けたこともありましたから、やはり珍しかったんだと思います。
私がなりたての頃は、男性が保育士になってもトイレや更衣室などの施設の問題とか、男性も一緒に働くという職場環境がまだまだ整っていないこともあり、せっかく保育士になっても続かないという話もよく聞きました。それを思うと、桶谷さんと私は8年ほど年の差がありますが、男性がぐっと増えたなと感じます。
桶谷さん
私は源さんから8年後となるのですが、当時、「保育介護科」という学科で同級生の半分くらいが男性でした。特に少数派だと感じたことはありませんでしたね。保育士になってからも、職場環境などは源先生の頃に比べてずっと改善されていますし、男性保育士もぐんと増えていたと思います。
現在、私の同級生で保育士をしているのは2名です。残念ながら途中でやめていった方もいます。やめた理由は人それぞれです。単に男性だからという訳ではなくて、保育士という職種全体の課題であるのかなと思います。
保育現場で、何か性別による違いはありますか?
桶谷さん
保育士としてやることは、ほぼ一緒です。わかみや保育所は今の状態が普通であって自然なので、「男性だから」と何か特別に扱うものもなくて、そこはこちらとしても過ごしやすいですね。
私は8年ほど児童館にいて保育現場を離れていました。わかみや保育所は久しぶりの保育現場だったのですが、先輩の男性保育士さんたちが、ちゃんと道を作ってくれていたおかげで、自分はそこに乗っかかることができたと思います。後輩としては、本当にありがたかったです。
源さん
桶谷先生の言う通り、性別による区別はあまりないです。保育士になりたての頃は、女性も男性保育士をどう扱っていいか分からないみたいなところがあって、気を使われているなと感じることもありました(笑)。
でもだんだんお互いに打ち解けていくと、性別ってそんなに意識しなくなりますね。自分のことを知ってもらい、こちらも相手のことを理解して、お互いに認め合ったところで、それぞれの得意なことをやっていこうという感じです。
男性の育児参加についてはどのように感じていますか。
源さん
女性は外でも働いて家に帰っても家事をしてと、本当にすごいなと思います。まだまだ女性の負担が大きいなと感じる一方で、お子さんの送り迎えや保護者の集まりなど、男性の育児参加は増えてきたと感じます。若い世代になるほど、男性も料理をしたり子どもの面倒を見たりしているという話は聞きますね。
桶谷さん
あと、男性の育児休暇の取得が進めばと思いますね。すでに取っている方もいらっしゃると思いますが、まだまだ少ないように思います。これに関しては男性の育児参加について理解が進まないと難しいところもあると思います。でも、男性が育児休暇を取れるようになると、もっともっと意識が変わってくるかなと思います。
最後に、保育士に対する思いを聞かせてください。
桶谷さん
「こんなことも出来るようになったんだ」と喜びもありますし、逆に「子どもたちがどうしたら楽しんでくれるかな」と葛藤もあります。周りの先生方に支えられながら、挑戦して反省して、もう一回やってみての繰り返しです。それでも最後は子どもたちが、元気をいっぱいくれるので「もっと何かしてあげたい」と頑張る気持ちが出てきます。
自分の思いを持ちつつ柔軟性をもって、子どもたちの育ちを一番に考えながら保育をしていきたいなと考えています。
源さん
私はその保育所の地域性だったり、子どもたちの個性だったり、保護者の方の思いだったり、そういったものを理解した上で保育につなげていくよう心がけています。
男性保育士ということで、保護者の方から「大丈夫?」と思われたことも過去にはあります。でもそうした不安には、子どもたちを通して応えていこうと思っていて、子どもたちが「今日も楽しかった!」とおうちで話をしてくれれば、それが一番のメッセージになるかなと考えています。
これからも保育士という立場で、子どもの成長を一番に願って子どもたちと関わっていきたいと思います。
(2023年8月14日)
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