VOL1-はくさん男女共同参画応援プロジェクト
人が集い、人がつながる地域へ
仲田日出子さん(山島公民館長)、作本文枝さん(林公民館長)
山島公民館の仲田さんと林公民館の作本さんのお二人は、女性の公民館長として地域のためにご活躍されています。地域の拠点となる公民館の運営を担うお二人に話を聞きました。
まず公民館長の仕事をすることになった時のことを教えてください。
山島公民館長:仲田日出子さん(以下、仲田さん)
「公民館長を仲田さんにお願いしたい」という話が来た時、まず戸惑いました。公民館運営審議会や地元こども園の理事などで地域と関わってはいましたが、簡単に「はい、分かりました」とは言えなかったですね(笑)。でも、私が誰かの助けになるのならと、最後は「公民館長って何するの?」と話を聞いている自分がいました。
私は前職で、いろいろな「命」をずっと見つめてきました。なので、「命」というものを大切にし、そして誰かが困った時は助けたい、という気持ちが常に根底にあります。今は、自分が経験したことや得た知識などを、ここで発揮することができればという気持ちでやらせてもらっています。
林公民館長:作本文枝さん(以下、作本さん)
もともと私は、生涯学習や社会教育的な活動には興味があり、市が進めているコミュニティ組織準備委員などで公民館と関わりがある中で、お話をいただきました。公民館の主事さんとも顔なじみでしたので抵抗はありませんでしたが、やはり「どうしましょう」というのが最初の気持ちですね。
私は以前から子育てや育児不安による虐待などの支援をしてきた中で、いろいろな問題を抱えた子供たちの姿を見てきました。そうした中で、子育て支援や地域とつながれる居場所として、公民館で何ができるかと考えておりました。そうした思いもあり、「公民館長」のお話を、子ども・子育ての環境づくりのチャンスと考えお受けしました。
公民館長になって感じたことなど、いろいろあるかと思いますが。
作本さん
思っていた以上に、地域の人が集う場所なんだなと感じております。私自身お一人お一人に、十分な時間を取ることはできないのですが、それぞれがお互いに声をかけあっていく様子を拝見していると、みんなで地域のさまざまな情報を共有していける場所であることを感じています。
また、若い人からお年寄りまで、多様な力を持っていらっしゃる方が大勢いて、地域の活力はこうした人たちに支えられているんだなと、あらためて感動しています。この地域の活力を大切に保持しつつ、次の世代につなげていけるような関わりが今からは必要かなと考えています。
仲田さん
山島地区は日中働きに出ている人も多く、夜の時間や土日に集合し、活動することが多いです。そうした中で、たまに「館長、遊びに来たよ!」とか「きゅうりを持って来たよ!」などと遊びに来てくださる方もいますね。本当に地域の人は優しいなと感じています。
私は「公民館長」と呼ばれると大きな責任を感じてしまうのですが、あくまでも地域の皆さんと同じ立ち位置で関わりたいと思っていて、「みんなと一緒に手をつないで行こう、でも誰かが転んだら絶対に助けよう」という思いでいつもいます。温かい思いやりのある、何でも話せる笑顔あふれる館長でありたいと思っています。
お二人は、性別にとらわれず活躍されているなと感じます。どうですか?
作本さん
地域には、性別に関係なく多様な人材がたくさんおられると思うのですが、比較的、女性自身が物事に控えめな方が見受けられ、活躍の場が少ないと感じています。でも今は、男性も女性も、お互いに認め合って共にやっていく時代でもありますので、そういう意味では、「女性公民館長」というのも特別珍しいことではないと思っています。
実際に女性が活躍している姿が目に留まれば、否定的な見方だった人の考えが変わったり、「私も見習いたい」と感じる人が出てきたりします。そうすることで、女性の活躍の場がどんどん広がっていくと思います。だから、女性が地域で力を発揮していくというのは、とても大切なことであり、素晴らしいことだと感じております。
仲田さん
与えられた立場で頑張ることが、今の私たちの役割だと思うんですね。その気持ちが周囲に伝われば少しずつ変化が生まれます。私は「人の思い」というものを大切にしたいと思っていて、それが公民館の運営につながっていくと思っています。
私自身、失敗もあります。でも、そうした失敗あり成功ありの活動の中で、地域の方から「館長、良かったよ。すごく頑張ったね」という言葉をいただくと、本当にありがたいなと思います。
最後に、今後の地域や公民館について抱負をお聞かせください。
仲田さん
「公民館だから」と堅苦しいことを言うつもりは全くなくて、「あそこに行ったら公民館長や事務の人もおるし、ちょっと冗談でも言ってくるわ」ぐらいな気持ちで立ち寄ってくれる人が増えてくれたらいいなと思っています。
当地区は働いている方も多いので日中から大勢の人が出入りすることはないのですが、だからこそ、日ごろから身近なことで気軽に意見を投げかけ合うことができれば、それが公民館の目的でもある「集う」や「学ぶ」につながっていくと思っています。経験豊かな事務職員に助けられながら、そして、日々の皆さんとの関わり合いを積み重ねていき、地域におけるコミュニティを作っていければと考えています。
作本さん
仲田公民館長さんのおっしゃる通り、誰もが気軽に集える公民館というのが本当に大切だなと私も思います。
あと、公民館長になって感じたことなのですが、公民館の事務に携わる主事さんたちの仕事量が本当に多くて驚いております。これからも、やりがいを持って働いていただくために、仕事量をなんとか軽減し、働く環境を整えたいと思います。単に、今やっていることを簡素にするのではなく、仕事を整理して効率化を図っていく必要性を感じております。地域の皆さんにご協力をいただきながら、新たなコミュニティセンターに向けて、工夫を図ってまいりたいと思います。
(2023年6月26日)
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