食にまつわることわざ集
「腐っても鯛?」「三里四方の野菜を食べろ?」…
あなたは幾つのことわざを知っているかな?
日常生活にすっかり浸透している「ことわざ」は、たくさんの人々の経験や知識の中から生まれました。多種多様な「ことわざ」の中から、食にまつわる「ことわざ」にしぼって紹介します。
「ことわざ」を通じて「食」を今一度、見つめなおしてもらえればと思います。
あ行
- 青菜(アオナ)に塩
- 青菜に塩をふると、水分が出てしおれるようす。元気がなく、しょげていることのたとえ。
- 秋茄子(アキナス)は嫁に食わすな
- 茄子は体を冷やすので、食べ過ぎるのは体に良くないという嫁をいたわる言葉。
- あつものに懲りてなますを吹く
- 熱いお吸い物を吸って、口の中を火傷した人は、冷たいなますを見ても吹いて冷まそうとすること。前の失敗に懲りて余計な用心をするたとえ。
- 朝茶は七里帰っても飲め
- 朝茶を忘れて旅立ったら、たとえ七里の道を戻ってでも飲んだ方が良い。朝茶を飲めば、その日の災難よけになるからだ。
- 小豆と女のしょっぱいのには手がつかぬ
- アズキは甘く煮たものでなければうまくないし、女は勘定高いと嫌われる。
- 甘いものにアリがつく
- アリが甘いものに群をなして寄り集まって来るかのように、人は権利やうまい話を聞くと集まって来る。
- 粟(アワ)とも稗(ヒエ)とも知らず
- アワとヒエの違いも分からないような、何の苦労もない高貴な生活をいうたとえ。
- 生け簀(イケス)の鯉
- 生け簀で飼われ拘束されて、自由にならない身のたとえ。転じて遅かれ早かれ死ぬ運命の決まっていることのたとえ。
- イワシ七度洗えばタイの味
- イワシも不要な油脂を落とせば、タイに勝てるとも劣らない味があるという意味。
- 雨後春筍(ウゴシュンジュン)
- 雨が降った後に、沢山タケノコが生え出るようす。増えるのが速く、勢いが盛んなたとえ。
- うどの大木
- うどの茎は弱くて何の役にもたたない。大きくても弱くても役立たないもののたとえ。
- 魚(ウオ)心あれば水心
- 先方が好意を寄せてくれれば、これらも自然に同じ感情を抱くようになる。相手の出方次第でこちらにも対応の仕方があるという意味。
- 海老(エビ)で鯛(タイ)をつる
- 海老のような小さな餌で、鯛のような立派で大きな魚を釣ること。少しの手元で大きな利益を上げるたとえ。
- 沖のハマチ
- ハマチは漁が難しく、必ず捕れるとは限らない。あてにならないことのたとえ。
- 鬼も十八、番茶もでばな
- 鬼のように器量の悪い娘でも18歳位になると、女らしさがでてくる。あまり良くない番茶でも、熱湯を注ぎ手早く煎じて熱いうちに飲めば美味しいもの。ものごとにはタイミングがあり、タイミングを良くすればうまく行くという意味。
- 尾ひれをつける
- 魚の尾とひれは数が決まっているのに、さらに尾とひれをつけてしまうということ。実際にはありえないことなどを大げさに話すことのたとえ。
か行
- 画塀充飢(ガベイジュウキ)
- 絵に描かれた餅で飢えをしのごうとするようす。空想や想いで自分をいましめようとすること。または、現実逃避をするさま。
- 寒鰤・寒鯔・寒鰈
(カンブリ、カンボラ、カンガレイ) - 鰤・鯔・鰈は、寒の時期が旬で一番美味しいという意味。
- 牛飲馬食(ギュウインバショク)
- 牛や馬のように、よく飲み食べること。
- 魚懸甘餌(ギョケイカイジ)
- 警戒心の強い魚でも、美味しい餌をつけると簡単に釣れてしまうようす。甘い誘いに注意しないと、失敗してしまうことのたとえ。
- 魚網鴻離(ギョモウコウリ)
- 魚を捕る網に大きい鳥がかかる。求めているものが得られず、別のものが得られることのたとえ。
- 腐っても鯛(タイ)
- 有能な人やものは、多少衰えても十分に役に立つという意味。
- 玄関で茶づけ
- 玄関で茶づけを食べて、すぐでかける程、忙しいということをいう。
- コンニャクは体の砂払い
- こんにゃくを食べると、身体の中に溜まっている砂を取ってくれるということ。
- コンニャクのうらおもて
-
どちらとも区別のはっきりしないことのたとえ。
さ行
- 魚は殿様にもちは乞食に焼かせろ
- 食べ物の焼き方。魚は何度も裏返すと、身がくずれ見た目も落ちてしまうので、殿様のように何もかまわずに焼くほうが良い。もちは焦げやすいので、乞食のようにせっかちで何度も裏返しをする方が良いということ。
- 魚をもってハエを追う
- 魚をふりまわしてハエを追い払おうとしても無駄、魚の匂いでますます集まってくる。手段や方法を間違えれば、逆効果をまねくということ。
- 砂糖食いの若死
- 美味しい物ばかり食べていると、体に良くないといういましめの言葉。
- 山椒は小粒でもぴりりと辛い
- 「山椒の実は、小さいけどすごく辛い」ということから、身体は小さくても元気がよく才能にすぐれていれば、馬鹿にすることはできないということ。
- 三里四方の野菜を食べろ
- 三里四方(約12キロメートル以内)でとれた野菜を食べていれば、健康で長生きができるという意味。
- サザエの拳、白魚の手
- 男性のサザエのようにたくましい拳と、女性の白魚のように美しい指をたとえていう。
- 秋刀魚(サンマ)がでるとあんまが引っ込む
- 晩秋は健康な季節で、病人が少ないことをいう。
- 渋柿の長持ち
- 甘い柿はくずれやすく、渋柿は長持ちする。無用の者の長生きするのをいう。
- 白豆腐の拍子木
- 役にたたないことをいう。
- 生姜(ショウガ)は田植え歌を聞いて芽を出す
- ショウガは、5月に芽を出す。
た行
- 鯛も一人はうまからず
- 豪華な食事でも1人で食べるのは美味しくないという意味。食事の雰囲気は大事であることのたとえ。
- 大根役者
- 大根は消化がよいから、めったにあたらない。転じて当たり芸のないヘボ役者のことをいう。役者に限らず、無能な人間を「大根」という。
- たこのあら汁
- あるはずのないことをたとえていう。「あら」は魚の骨やひれなど。
- 鱈(タラ)腹食う
- タラは大変な大食漢で自分の子供まで食べると言われるほど。腹一杯貧欲に飲み食いすることをいう。
- 冬至かぼちゃに年とらせるな
- 冬至にかぼちゃを食べると、風邪をひかず、しもやけにもなりずらいということ。また、かぼちゃの保存は、冬至までが良いということ。
- 豆腐にかすがい
- 柔らかい豆腐にかすがい(大きな釘)を打ってもきかない。無駄なことのたとえ。「糠に釘」と同じ意味。
- 豆腐は煮ればしまる
-
人は、困難なことに直面して苦労すると人間が練れると言うこと。
な行
- 納豆も豆なら、豆腐も豆
- 姿かたちは違っていても、もとは同じという意味。「納豆」も「豆腐」も、原料は同じ大豆から出発している。
- 猫の手に餅
- 猫の手に餅がくっついたように、始末に終えない様。不器用なことのたとえに使う。
- のど元過ぎれば鯛も鰯も
- 口の中には味覚を判断する神経があるが、のどを過ぎてしまえばタイもイワシも同じこと。
は行
- 花より団子
- 花を眺めて詩や俳句などを作るより、花見団子を食べる方が良いということ。風流のわからないことのたとえ。名声や名誉よりも実益を選ぶときのたとえ。
- 冷や飯を食わせる
- 冷たい態度であしらうようす。
- 風呂桶で大根を洗う
- 物事がゆるゆるしていることのたとえとして使うことわざ。
- ふぐは食いたし命は惜しし
- 美味しいふぐを食べたいが、毒が怖いという気持ちを表したもの。良い部分と悪い部分の両方があり、迷うときの様子。
- へそで茶を沸かす
- おもしろすぎて、大笑いをする様子。
ま行
- 豆を煮るのに豆がらをたく
- 豆を煮る燃料に豆がらを使うこと。仲間同士が傷つけ会うこと、兄弟同士が互いに害し合うことのたとえ。
- 丸い玉子も切りようで四角
- ものはいいようであるということ。この後に「物もいいようで角が立つ」と続く。
- 味噌が腐る
- 調子外れの歌声や歌う時の悪声をあざけって言うたとえ。「糠味噌が腐る」も同じ。
- 味噌汁は不老長寿のくすり
- レシチン、リノール酸、ビタミンEの三巨頭で血管や脳細胞、体細胞の老化を予防する作用がある。
- 味噌も七年たてば土になる
- 使い惜しみもほどほどにしないと、せっかくの節約もむだとなり、逆に大損してしまう。けちん坊へのいましめ。
- 味噌の味噌臭きは食われず
- 成熟しきってない味噌ほど食べられないものはない。むやみに自分の知識を出す人は、未熟だというたとえ。
- みかんが黄色くなると医者青くなる
- みかんの黄色くなる時期は、季節的にしのぎやすくなり、体調・健康が保たれ医者にかかる人が減るという意味。
- 麦めし炊くような人
- のろまで、ぼやぼやしている者をいう。
- 桃栗三年柿八年
- 桃と栗は芽生えてから三年、柿は八年で実を結ぶという意味。ある時期がこないと実は得られないということのたとえ。
- 餅は餅屋
-
物事にはそれぞれ専門家があるということ。
や行
- 焼き餅やくとて手を焼くな
- 嫉妬のために実を誤らぬようにほどほどにせよということ。
- 夢に牡丹餅
- 思わぬ喜び事が急にやってくること。
- よくなる時は土も味噌、悪くなる時は味噌も土
- 強運でとんとん拍子によいことが続く状態と反対に、落ち目になった時の状態をいう。
その他
- さしすせそ
- 料理の時に使用する調味料の入れる順番(主に煮物に使われる)
さ:砂糖 し:塩 す:酢 せ:しょうゆ そ:味噌 - 強火の遠火で炎を立てず
- 魚を焼くときの基本。強火で魚の表面に早く火を通し、遠火で肉の内部を乾かさず旨味を逃がさないようにする。炎を立てないのは、必要以上に焦がさないため。
- 夏は熱いものが腹の薬
- 暑い時は冷たいものが欲しくなるが、冷たいもの(氷・ジュースなど)をとり過ぎると、食事が食べられなくなってしまう。
暑くても温かいものをしっかり食べ、体調を整えることが大切といういましめのことわざ。 - 初めちょろちょろ、中ぱっぱ、赤子泣いてもふた取るな
- 釜でのお米の炊き方。(火加減)初めは弱火でだんだんと強火にして行く。どのようなことがあっても、ふたをとってはいけない。
(白山市農村漁村女性活動推進協議会作成資料より)
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